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レッド(26)「正義の味方の」ピンク(16)「恋愛事情」

レッド「おい、ミーティングにこれないってどういうことだ!」

ピンク「だから何度も言っているじゃないですか。今度の期末試験を受ける際の対策講座があるって」

レッド「いや、それは聞いていたけどさ。あとで友達からノート貸してもらうとかできないのか?」

ピンク「そういうわけにはいきません。ただでさえ最近悪の組織と戦っているせいで学校休みがちなんですから」

レッド「え? でもそこはうちの組織の方から学校側に出席訂正するように配慮がされているんじゃないっけ?」

ピンク「確かに出席は訂正されてますけどその分普通に勉強する時間が足りないんです。このままじゃ留年の可能性もあるんで……。あ、そろそろ講義始まるんで切りますね」

レッド「あっ! おい……。切れちまったよ」

ブルー(20)「レッドさん、ピンクのやつどうでした?」

レッド「あ、それがどうも来られないって。まったく、学校よりもこっちのほうが俺たちには重要だろうに」

ブラック(32)「まあ、そういいなさんな。お前は確かに昔からこの役目一筋で学校なんてそっちのけだったろうがあの子にまでお前の考えを押し付けるのはよくないぞ」

レッド「はぁ……。そりゃ、ブラックさんのいうこともわかりますけど。でもピンクのやつは先代が寿退職して新しく入ったばっかりなんですよ。
 もうあいつが入ってから三ヶ月目になりますけど中々連携もうまくいかないですし。この前だって一歩間違えば怪人にやられるところだったんですよ、あいつ」

ブルー「でもその時はレッドさんがうまいこと助けに入ったじゃないですか! そうやってお互いに支えあっていくのが僕たちの有り様じゃないんですか?」

レッド「う~ん、そう言われちゃ返す言葉がないんだけどな。ただ、ピンクのやつはまだ皆との間に一線をおいているというか……」

ブラック「それは確かにな。ま、年頃の少女が自分よりも年上の男ばかりの集団の中に放り込まれちゃ、その反応はある意味正しいもんじゃないのかね」

レッド「そんなもんですかね? 一応このミーティングについてこの間連絡した時も『わざわざ直接集まらなくてもこうして通信を使ってミーティングをすればいいじゃないですか』なんて言われちゃって」

ブルー「う~ん、でも確かにピンクを除いて僕たち皆表の顔は社会人ですし、こうして全員の予定の合う日じゃないといけないのは確かに不便かもしれないですね」

レッド「でも、この集まりはずっと前の先代から受け継いできたものだからな~。そう簡単に変えていい風習とも思えないし……」

ブラック「そこは、ほら。臨機応変に簡単なミーティングなら連絡の時みたいに端末を使って行えばいいんじゃないか? 本当に重要な時だけ集まればいいと俺は思うぞ」

レッド「やっぱり、皆不便だとは感じているんですね。わかりました、一度先代に相談してみることにします」

ブラック「おう、そうしとけ。今はお前がリーダーなんだ、よく考えて出した結論なら誰も反対しないさ」

ブルー「そうですね。あ、そういえばお二人共飲み物でも頼みますか?」

ブラック「そうだな。それじゃあ、俺はコーヒーをホットで」

レッド「俺は……バナナジュースにするよ」

ブルー「レッドさん相変わらず可愛らしいもの頼みますね。あ、店員さ~ん。コーヒーとバナナジュース、それからレモンティーのアイスお願いしま~す」

レッド「ありがとう、ブルー。それで、話を本題に移して今回のミーティングだけど……」

イエロー(23)「ごっめ~ん、遅れた~?」

ブルー「あ、イエローさん。大丈夫ですよ、今から始めるところです」

ブラック「なんだ、今日はいつもより早く来たじゃねえか」

イエロー「そうなの! 実はいつもより仕事の数が少なくてね。意外と早く終わったからこうして間に合ったってわけ」

レッド「今回はちゃんと仕事だったのか。いつもメイクの時間がどうとか言い訳をするからまたそれかと思ったぞ」

イエロー「なによ、レッド。一応は間に合ったんだから文句無いでしょ? 機嫌悪いの?」

ブルー「実はさっきピンクからミーティングに来られないって連絡が来て」

イエロー「あ~なるほどね。それで拗ねてるわけか。あんたもわかりやすいわね~。どうせ、久しぶりにオフでみんな集まるんだから最近の近況を聞きながらピンクとあたしたちの親睦を深めようとでも思ってたんでしょ?
 でも、いざその日を迎えたらピンクがドタキャンであんたの計画が丸つぶれ。そんなわけだからいじけてるわけね」

レッド「ばっか、ちげえよ! 勝手な想像やめろよこの男女!」

イエロー「なによ! その呼び方はやめろって前からいってるでしょ! だいたい今のあたしは胸もあるし、見た目もそこらのモデルに引けをとらないくらいは綺麗だと自負しているわ。
 ちょうど、さっきも道歩いていたらナンパされたしね」

レッド「そんな自慢はどうでもいいわ! それならさっさと男の象徴さっさと切除しろよ!」

イエロー「うっさいわね、お金が貯まったらすぐにでもするわよ。全く、これだから女心に疎い熱血ヒーロー馬鹿は困るのよ。デリカシーがないったらありゃしない」

レッド「はんっ。人を守るのに女心なんか関係ないだろ! そんなこと言うのは軟弱なやつだけだ」

イエロー「そんなこと言ってるから見た目だけはいいのに彼女が出来てもすぐに別れられるのよ。そのくせプライドだけは高いから自分に非はないと認めようとしないんだから」

レッド「ふん、たまたま俺と波長が合わなかっただけさ」

イエロー「へ~。その調子じゃ、あんたと波長が合う子を見つけるのは苦労しそうね」

ブルー「あ、あの~二人ともその辺りでやめときません?」

レッド「彼女持ちは」

イエロー「黙ってなさい!」

ブルー「ひどいっ! 僕別に何も悪いこと言ってないのに」

ブラック「まあまあ、二人とも。このままじゃいつまで経っても話の本題には入れないぞ。それに、いくら俺たち専用の個室で話しているとは言え、ここは喫茶店だ。あんまり声が大きいと外に響いて他の客に迷惑になる。
 それはこの店の店主である先代ブルーの顔に泥を塗ることにもなるけどそれでもいいなら続けろ」

レッド「……さすがに先代の迷惑になるようなことはできないですね」

イエロー「確かにあたしもヒートアップしすぎたわ。〝乙女〟にあるまじき行為ね」

ブラック「よしよし、それでこそ大人の対応だ。お、ちょうど飲み物もきたな。イエローは何か頼むか?」

イエロー「そうね、それじゃあミルクティーをもらえるかしら」

レッド「よし、それじゃあピンク以外の全員が揃ったことだし気を取り直してミーティングをはじめるとするか」

ブルー「はいっ!」

ブラック「了解っと」

イエロー「は~い」


――ピンクの学校――

ピンク「はあ、今日も疲れました」

友「お疲れ、桃。いや~今日の授業は難しかったね~。あたし全然理解できなかったよ~」

ピンク「私もです。ここ最近学校休みがちでしたので……」

友「あ~前に言ってたやむを得ない事情ってやつ?」

ピンク「はい……。実は今日も学校を休めと言われてまして。もちろんテストが近いので断ったんですけど」

友「アルバイトに似たようなもんだって言ってたよね。家庭の事情だそうだけどピンクも大変だね。ブラック会社じゃん、それ」

ピンク「でもその分お給料はいいんですよね」

友「へ~どれくらいもらってんの?」

ピンク「え~っと、高級マンションに一人で住んで何不自由なく生活する分にはもらってますね」

友「またまた~。その冗談センスないよ~」

ピンク「別に冗談じゃないんですけど……」

――下駄箱――

友「あ、そうだ。帰りさ、最近できたクレープ屋寄ってみない?」

ピンク「そうですね……。たまにはいいかもしれないですね」

友「よし、そうと決まったら善は急げ! 早く行こっ! ……って、あれ? なんか、校門前に人集まってるね」

ピンク「本当ですね、なんでしょう?」

レッド「いや、ここに知り合いがいるんですって。本当です、嘘じゃないですって」

警備員「はいはい、不審者はみんなそう言うの。少し人より顔がいいからって……チッ」

レッド「あ、舌打ちしたでしょ今。絶対私情挟んでますよね。ねえっ!」

警備員「うるさい! ほら、そこの女子高生どもも散った散った。たまにイケメンが来るとこれだよ。ほんと、世の中不平等だ……」

友「うわっ、ナンパしにきたのかなあの男の人。でも、結構格好いいかも」

ピンク「……な、なんで」

友「ん? 桃、どうかした?」

レッド「ちょ、ちょっと待ってってば。……あっ、桃。ちょうどいいとこに! ほら、早く誤解解いてくれよ。俺このままじゃ完全に不審者として捕まっちまう」

ピンク「あ、あなたはこんなところで何をしているんですか! ちょっと、こっちに来てください」

レッド「痛っ! 桃、無理やり手を引っ張んなって!」

友「……行っちゃった。なんだったんだろ、あの人。もしかして、桃の彼氏?」

――公園――

ピンク「どういうことですか! なんでレッドさんが私の学校に来てるんですか!?」

レッド「そんな大声出すなよ。お前今日のミーティング休んだろ。その時のことを直接話しとこうと思ったんだよ」

ピンク「別にそういうことは通信でやればいいって言ってるじゃないですか」

レッド「確かにそうだけどさ~。ほら、やっぱこうして直接会ったほうがいいかな~って」

ピンク「はぁっ……。なんですかその適当な理由は。まあ、いいです。こうしてきてしまったんですから話を聞いておきますよ。

レッド「おう。それで、今日のミーティングの内容なんだけどな……」

……



レッド「といった感じで、うちのバックアップ組からの連絡によると最近また悪の組織が何か企んでるみたいなんで動きが見られたら即対処するようにってことで」

ピンク「わかりました。わざわざどうもありがとうございます」

レッド(言葉の端々に刺があるな。やっぱ、まだ怒ってるなぁ)

レッド「そ、そうだ桃。最近このあたりにクレープ屋できたらしいぞ。よかったら行ってみないか?」

ピンク「レッドさん、物で機嫌を良くしようという魂胆が丸見えです。それに、本来なら私は今日そこに友達と行く予定でしたから。まあ、誰かが突然来たせいでその予定も潰れましたけど」

レッド「うっ……その件は本当にすまん。けど、俺もいろいろ考えてだな」

ピンク「クスッ。わかってますよ、それくらい。今日だって本当は私と他の皆さんとの仲を取り持とうとしてくれてたんですよね?」

レッド「なんだ……バレてたのか。まあ、お前まだヒーローなり立てだし色々周りに壁があると思ったからさ。
 あ、ちなみに相談事があるなら俺が聞いてやるぞ。なんせリーダーだからな!」

ピンク「その点に関してはご安心を。私こう見えて皆さんとの仲はいいですから。さっきのレッドさんの考えだってイエローさんからのメッセージで知りましたから」

レッド「えっ……そうなの?」

ピンク「はい。ちなみにレッドさん以外は戦隊共通の端末ではなく個人用の端末でも連絡先交換していますよ」

レッド「えっ? ええ~。なんだ、それ。それじゃあ、お前の個人連絡先イエローだけじゃなくてブルーやブラックも知ってるってことか?」

ピンク「そうなりますね。残念でした、レッドさん」

レッド「なんだよ~。それじゃあ、俺だけ仲間はずれか? くっそ、みんなして俺を除け者にして……」

ピンク「ふふっ。拗ねないでください、クレープ奢りますから」

レッド「いらん! というか、子供に奢らせてちゃ俺の立場がない」

ピンク「遠慮なんて別にいいんですけど。私これでも結構給料もらってるんですよ?」

レッド「それくらい知ってるわ。俺は、お前と同じくらいの時からヒーローやってるんだ。知らんわけないだろ」

ピンク「……知ってますよ」

レッド「ん? 何か言ったか?」

ピンク「別になにも? それより、行くなら早く行きましょう。早く行かないとお店閉まっちゃいますよ」

レッド「あっ、こら。だから引っ張るなって」

ピンク「これくらい普段から子供たち相手に慣れてるでしょ? しっかりしてください、保父さん」

レッド「保父さん言うな。ちょっと恥ずかしいんだから」

ピンク「はいはい。明日からまた園児の面倒見るの頑張ってくださいね正義のヒーローさん」

レッド「こらっ、そういう重要なことさらりと口にするな!」

……



――幼稚園――

女園児「センセー、センセー今日はあたしたちと遊んでくれるって言ってたよね~」

男園児「ばっか、何言ってんだよ。センセーは今日俺たちと一緒に遊んでくれんだぞ! な、センセー」

女園児「そんなことないもん。紅センセーはあたしたちと一緒におままごとやってくれるっていったもん!」

男園児「ハンッ。センセーがそんなことするわけないじゃん。センセーは俺たちと一緒にヒーローごっこしてくれるんだかんな」

レッド「あ、あ~。とりあえず二人とも落ち着いてくれないかな」

女園児「センセー! センセーはあたしたちとそっちのどっちを取るの?」

男園児「センセー! 男に二言はないよな! ヒーローは嘘つかないもんな!」

レッド「ええっと……その~」

園長「あらあら、紅先生。相変わらず園児たちから人気ですね。でも、優柔不断なのはよくありませんね。ここはスパッと決めてしまわないと」

レッド「ですよね。ううん、そうだな。男園児たちとは昨日一緒にヒーローごっこしたし、女園児たちとの約束があったから今日は女園児たちと遊ぶな」

男園児「え~。なんだよ、それ~」

レッド「ごめんな。その代わり明日は一緒に遊んであげるから」

男園児「チェッ。しょうがないな、約束だかんな!」

レッド「ああ、約束だ」

女園児「それじゃあセンセー早く来て! もう準備は出来ているんだから!」

レッド「わかったよ。今行くから」


……



レッド「ふう、今日も園児たちの相手は大変だったな。まだまだガキだからかあいつらの体力は無尽蔵に近いからな~」

ピロリ~ン

レッド「おっ、ブルーからメールだ。なになに? 彼女と喧嘩して家を追い出されました。行くとこないので今日泊めてもらえませんか?
 ったく、しょうがないな」

――レッド宅――

ブルー「いや~助かりましたレッドさん。本当こういう時は頼りになりますよ」

レッド「なんだか今の言い方に引っかかるものがあったけど、まあいいや。それで、いつも仲いいって自慢してるのになんでまた喧嘩なんかしたんだ?」

ブルー「いや、それがですね。僕仕事が外仕事じゃないですか? それで、元々彼女とデートの予定の日があったんですけど急に仕事先から出てくれって頼まれて。
 まだまだ下っぱなほうなんで断れずその日は仕事に行っちゃったんですよ」

レッド「なるほどな、それで怒った彼女と喧嘩してってオチか」

ブルー「いや、それ自体は今までに何度かあったので彼女も仕方ないって納得してくれたんですよ。まあ、この理解があるところが僕の彼女のいいとこなんですけどね。
 ただ、その仕事先が女子高でして。僕そこで女子高生にナンパされたんですよ~」

レッド「さらりと惚気と自慢を話に混ぜてくんな。で、それからどうしたんだ?」

ブルー「実はうちの彼女、親方の奥さんと仲がいいみたいで、僕がナンパされたこと聞いちゃったんですよ。それで、『やっぱり私なんかより若い女の子のほうがいいんでしょ!』って拗ねちゃいまして。
 僕は愛しているのは君だけだって弁解したんですけど聞き入れてもらえなくて。それで、気持ちを落ち着かせるために一日欲しいって言われたんでこうしてレッドさんに連絡したんですよ」

レッド「……よし、お前今日は帰れ」

ブルー「ええっ! まだ来てから三十分も経ってないですよ!」

レッド「うるせえ! 喧嘩して家追い出されたって言うから連れてきてやったのに、なんだよただの惚気じゃねえか。喧嘩でもなんでもないわ、そんなん」

ブルー「そうですかね。いや~お恥ずかしい」

レッド「くそっ。この余裕綽々な態度が妙に腹立たしい。これだから彼女持ちは」

ブルー「そんなこというならレッドさんも誰かと付き合えばいいじゃないですか。レッドさん黙ってれば顔はいいんですから」

レッド「うるさいな~」

ブルー「あ、お酒飲みだした。もう、保父さんなんですから子供たちにお酒の匂い嗅がせたりしちゃダメですよ」

レッド「お前は俺の母親か! そういやお前明日仕事は?」

ブルー「あ、休みです。元々休みだった日に出勤したんで代わりに休みもらいました」

レッド「そうか。俺は明日も仕事だよ」

ブルー「お疲れ様です。で、話を戻してレッドさんは今恋してないんですか?」

レッド「お前も好きだな~。あいにくと今は誰にも恋してねーよ。第一悪の組織との戦いでの対策考えたり、園児たちの面倒見てるのに忙しくてそんな暇ねえな」

ブルー「ふ~ん、意外です。もっと恋愛活動に積極的になってるかと思ってたんですけど。……ふむ、なるほどなるほど」

レッド「おい、急に携帯いじりだしてどうした」

ブルー「いえ、なんでもないです。ちょっと、彼女へ謝罪のメールを送っているところなので」

レッド「あ~そうか。なら、好きなだけしていてくれ。俺はテレビでも見てるわ」

ブルー「はい。お世話かけてすいませんレッドさん」

レッド「ま、こういう時と戦いの時くらいしかリーダーっぽいことできないからな。今日はゆっくりしてけ」

ブルー「ありがとうございます」

……




――ピンク宅 電子モニター――

イエロー「ほほ~。それでその日はレッドと一緒にクレープを食べたと」

ピンク「そ、そうなりますね。でも、結局連絡先は聞けませんでした……」

イエロー「も~。それだったらあたしがあいつの連絡先くらい教えてあげるって言ってるじゃん」

ピンク「いえ、こういうのはやっぱり自分で聞いておかないと意味がないと思うので」

イエロー「お固いね~ピンクは。でもホント不思議だわ。あんな奴の一体どこがいいんだか。あたしには全く理解できないね」

ピンク「そ、そんなことないです! レッドさんは責任感ありますし、戦いの時はいつもみんなのこと気遣ってくれてます。それに、面倒見だってありますし、素敵な男性です!」

イエロー「ふ~ん。そんなに力説するくらいあいつのことが好きなんだ。いや~電子モニター越しだけど聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらい一生懸命ね」

ピンク「あっ……。いえ、その……」

イエロー「でもさ、そんなに好きなら早く告白でもしたらいいのに。気持ち自体は固まってるんだから動かないと損だよ。
 あいつ、あれでも黙っていれば絵になるからね。ま、中身は熱血馬鹿って知って幻滅する人も多いけど、そこを含めて好きになる人がピンク以外に現れないとも限らないんだし」

ピンク「……そう、ですよね」

イエロー「そういえば聞いていなかったけど、そもそもどういう経緯であいつのこと好きになったの? だってまだ知り合ってから三ヶ月でしょ。まさか一目惚れってことはないわよね」

ピンク「えっと、ある意味ではそれに近いかもしれないですね」

イエロー「えっ!? 嘘っ!」

ピンク「実はですね、私十年前に……」


――十年前――

ピンク(6)「うわ~ん、パパ~。ママ~」

蜘蛛怪人「ふはははは! どうだ、このデパートはこの俺が占拠した! ……あ、そこのお嬢ちゃんあんまし泣かないで。ほら、この飴あげるから」

ピンク「ふえ~ん。ひっく、ひっく」

蜘蛛怪人「……困ったな。市民に被害を与える気はないからな。ひとまず、この子のお父さんたちがデパートの中にいないか探してもらうか。お~い、下っぱ怪人」

下っぱ怪人「あ、はい。なんでしょう、蜘蛛怪人さん」

蜘蛛怪人「ああ、実はこの子お父さんたちとはぐれたみたいなんだ。だからどうにか見つけておいてあげて」

下っぱ怪人「はっ! 了解しました」

蜘蛛怪人「ふう、これでどうにかなるか」

ブルー(先代)「そこまでだ!」

蜘蛛怪人「ほう……。来たか、戦隊め」

イエロー(先代)「何の罪のない市民に恐怖を与えるなんて許さない!」

蜘蛛怪人「はっ! 二人だけで何ができる。それに、こちらには人質がいるんだぞ。おい、お前!」

下っぱ怪人「……お嬢ちゃん、ゴメンネ。見ろ! 既に少女の命は我々の思うがままだ。どうやらお前たちにはこの状況がわかっていないようだな!」

ピンク「うええん。こわいよぉ~」

ブルー「なっ! 人質を取るなんて卑怯な」

蜘蛛怪人「ふははははっ! なんとでも言うがいい! 卑怯なんて言葉褒め言葉にしか聞こえんな」

ブラック(22)「ま、確かにそうかもな。ならこちらも一人対多数の卑怯な手を取らせてもらいますよっと」

下っぱ怪人「ぐはっ!」

蜘蛛怪人「なっ!?」

ピンク「ふええっ。パパ~ママ~。えぐっ、えぐっ」

レッド(16)「もう大丈夫だ。ほら、泣き止んで。俺たちが来たからにはすぐにお父さんたちの元に返してあげるからな」

蜘蛛怪人「くっ……貴様ら。毎度毎度我々の侵略の邪魔をしやがって」

レッド「うるせえ! こんな子供を盾に使ってる奴が文句なんか言ってんじゃねえ。市民の憩いの場をこんなめちゃくちゃにしやがって。覚悟はできてるんだろうな!」

蜘蛛怪人「ふん。そちらこそ、むざむざと現れて、返り討ちにしてくれるわ」

レッド「行くぞ、みんなっ!」

ブルー「ああ!」

イエロー「おう!」

ブラック「あいよ」

……



ピンク「ということがあったんですよ」

イエロー「へ~。あたしはその時まだ戦隊の一員じゃなかったから知らなかった」

ピンク「いえ、でも多分レッドさんもこのことを覚えていないと思いますよ」

イエロー「ふ~ん。で、そういう出来事があったのはわかったけどそれでどうしてピンクはレッドを特別好きになったの?」

ピンク「実は、その戦いのあと。私お父さんたちのところまで連れて行ってもらったんですけれど、その時に私を連れて行ってくれたのがレッドさんだったんです。その時のレッドさんがすごくかっこよくて、優しくて……」

イエロー「で、惚れちゃったと」

ピンク「はい……」

イエロー「なるほどね、つまりピンクはそれから十年間ずっとレッドのことを想ってきたわけね。すごいわね、あたしじゃ絶対に無理だわ」

ピンク「それからは戦隊の活躍があればチェックしてたりはしてたんです。そうこうしているうちに十年が経って、ある日突然私のところにサポーターの人たちが来て、『君には戦士としての素質がある。よければ我々の力になってもらえないだろうか』って誘われて」

イエロー「あたしたちの戦隊の一員になったってわけね。でも実際に憧れていたレッドに会って幻滅とかしなかった?」

ピンク「どうでしょう。確かに、十年間自分が勝手に思い描いていたイメージのレッドさんとはズレがあって最初は悩んだりもしましたよ。
 でも、やっぱりあの人は私の子供の頃から憧れていた優しい人だったので」

イエロー「そっか、そっか。それじゃあ後は本人を前にして天邪鬼な行動を取らないようにすることだね~」

ピンク「そうですよね。ただ、どうしてもあの人を前にすると緊張しちゃって」

イエロー「初々しいな~。ま、頑張れ頑張れ。お姉さんは応援してるぞ」

ピンク「はい、ありがとうございますイエローさん」

ピロリ~ン

ピンク「あっ、メール。ブルーさんからですね」

イエロー「なんだって?」

ピンク「え~っと、『レッドさんは今彼女いないみたいだよ。でも、戦隊とかのこととか園児のことばかり考えてて恋愛自体に興味がなくなってきてるみたい!』だ、そうです」

イエロー「はぁ。本当にあの戦隊馬鹿は……。これは早いところ手を打たないとダメかもね、ピンク」

ピンク「は、はい! 私、頑張ります」
……



――街中――

レッド「でたな、怪人め。何度来ようとこの町の平和は俺たちが守ってみせる!」

蜥蜴怪人「ほう、言うじゃないか。いつもいつも貴様らの思い通りに行くと思うな」

ブラック「気をつけろ、レッド。こいつ今までの敵とはどうも様子が違うぞ」

レッド「わかってます。みんな気を引き締めろ。ブルーは俺とブラックと一緒に怪人の相手を、イエローはピンクと一緒に援護を頼む!」

イエロー「任せて」

ピンク「はい、わかりました!」

……



レッド「くらえ、焔の剣!」

蜥蜴怪人「ぐっ……」

イエロー「おっ、怯んだみたいね。援護するなら今ね。よいっしょ……。痛いだろうけど勘弁してね」

蜥蜴怪人「ぐふっ。お、斧か。噂に聞いていたがこれほどの威力とは」

ピンク(あっ、足をつきました。身体も傷だらけですし、これはだいぶ弱っているみたいですね。今なら私でも)

ピンク「やあああああああっ!」

レッド「ッ!? 馬鹿、ピンク!」

蜥蜴怪人「ふふふっ」

ピンク「なっ!」

蜥蜴怪人「ふん、俺は蜥蜴の怪人だ。多少のキズならすぐに再生できるんだよ」

ピンク(そんな……。マズイ、身体が怪人のほうに突っ込んでしまっていて今更動きを止めることができない)

蜥蜴怪人「これで終わりだな……」

ピンク(レッドさん……すみません)

ドガッ

レッド「……どう、にか間に合ったか」

ピンク「レッドさん!?」

蜥蜴怪人「ほう、仲間を守るために飛び出すとは敵ながら見事。だが、その代償は大きかったな」

レッド「ぐっ……うぅっ」

ドサッ

ピンク「レッドさん! しっかり、しっかりしてください!」

ブラック「レッド! てめえ……」

蜥蜴怪人「おお、怖い怖い。大事な仲間が倒れた時のお前たちの強さは侮れんからな。今日のところはこの辺で引かせてもらおう」

ブルー「待てっ!」

イエロー「ブルー深追いしないで。ブラック、レッドの様子を見てあげて」

ブラック「ああ、わかった」

ピンク「ごめんなさい、レッドさん私のせいでっ……」

レッド「おい、おい。なくな、よ。でも、よかった……。また、守ることができて」

ピンク「……えっ?」

ブラック「ちっ、傷が深い。こりゃ、今すぐ手当しないとマズイな。おい、イエロー。サポーターに連絡だ。早く!」

イエロー「わかったわ! もしもし、レッドがやられたわ、傷が深い。早く治療隊をよこして!」

……



――レッドの病室――

レッド「……」

ブルー「ちくしょう、あの怪人め」

ブラック「ブルー、そう憤るな。もう起こってしまったことだ」

ブルー「そうですけど! でも、許せないです。レッドさんにこんな傷を負わせて」

イエロー「そうね。ここしばらく仲間がこんなに傷つくとこなんて見てなかったからね。あたしも久しぶりに頭きた」

ブラック「早まるなよ、お前たち。そうやって怒りに任せて単独で敵を追えば間違いなく返り討ちになる。辛いだろうが今は耐えるんだ」

イエロー「……わかったわよ。そんなことより、ピンクは?」

ブラック「待合室だよ。あいつ今回の件は自分のせいだって思って酷くショックを受けてる」

イエロー「そう。それじゃあ、あたしがフォローに行ってくるわ。二人ともレッドのこと見てて」

ブラック「ああ、任せた」

――待合室――

ピンク「……」

イエロー「……ピンク」

ピンク「イエロー、さん。わたし、わたし……」

イエロー「そんなに自分を責めなくてもいいのよ。レッドがああなったのはあなたのせいじゃないんだから」

ピンク「でも、私がもっと敵の行動を注意してみていれば……」

イエロー「仕方ないわよ、あなたはまだ怪人との戦いの経験が少ないんだから」

ピンク「でも、でもっ」

イエロー「大事な人が傷ついて辛いのはわかるわ。でも、それであなたまで傷ついちゃせっかくピンクのことを身体を張って守ったレッドの立場がないんじゃない? 
 本当に申し訳ないと思うのなら、ここは空元気でも笑顔を見せて、レッドの意識が戻ったときに元気な姿を見せてあげるのが一番だとあたしは思うわ」

ピンク「……そう、ですね。すみません、イエローさん」

イエロー「分かればよし。まあ、まだまだ不格好な笑顔だけど、とりあえず今はそんなもんでいいでしょ。
 ほら、レッドの病室戻ろう」

ピンク「はい。あ、あのイエローさん」

イエロー「なあに?」

ピンク「ありがとうございます。本当に」

イエロー「気にしないで。これくらい当然でしょ、仲間なんだから」

ピンク「ふふっ、その言い方レッドさんにそっくりですね」

イエロー「あんな戦隊馬鹿と一緒にしないで。まったく、もう」

……



ピロリロリ~ン

ピンク「レッドさんが目を覚ましたって本当ですか!」

ブルー「本当だよ。昨日の昼頃目を覚ましたって。意識もしっかりしているし、今のところは回復の経過は順調みたい」

ピンク「よ、よかった……」

ブルー「今イエローがお見舞いに行ってるところ。よかったらピンクも行ってきたら?」

ピンク「はい。今はまだ学校ですけど、終わり次第すぐに行きます!」

ブルー「そう。それじゃあ、僕も仕事が残っているから、この辺で」

ピンク「はい。どうも、わざわざ連絡をしてくださってありがとうございました」

ブルー「それじゃあね」

ピッ

――レッドの病室――

ピンク「し、失礼します」

レッド「おう、ピンクか」

ピンク「レッドさん。本当に意識が戻ったんですね」

レッド「見ての通りな。悪いな、心配かけて」

ピンク「いえ、そんな。私のほうこそ、あの時は」

レッド「ま、気にすんな。っと、入口でいつまでも立ってないでこっちこいよ」

ピンク「はい。それじゃあ……」

レッド「制服ってことは学校の帰りか」

ピンク「はい。学校にいた時にブルーさんからレッドさんの意識が戻ったって聞いて」

レッド「それでわざわざ見舞いに来てくれたのか。ありがとな、ピンク」

ピンク「気にしないでください。私が来たくて来たんですから」

レッド「そ、そっか」

ピンク「そういえばイエローさんが来てたって聞きましたけど」

レッド「ああ、実はピンクと入れ違いで帰ってな。俺が寝ていた間の街の様子とかを教えてくれたんだよ」

ピンク「そうだったんですか。なんというかイエローさんは色々と気が利く人ですね」

レッド「そう思うよな。まあ、俺はあいつとはブラックの次に付き合いが長いからそんなこと普段思わないけどこういう時は本当にありがたく思うよ」

ピンク「本当ですね」

レッド「……」

ピンク「……」

ピンク(どうしましょう。思ったよりも話題が続きません。レッドさんも私と同じようですし、何か、何か話題……)

ガラッ

男園児「センセー」

女園児「センセー」

レッド「あれ? お前ら。どうしてここに」

男園児「へっへ~、園長先生に連れてきてもらったんだ。センセー大丈夫か? 怪人のせいで怪我したって聞いたけど」

女園児「センセー早くよくなって帰ってきてね」

レッド「大丈夫だ。ありがとな、二人とも」

男園児「それにしてもここが病室か~。センセー、ベッド乗ってもいい?」

レッド「おう、いいぞ。来い来い」

男園児「おっしゃー」ボフッ

女園児「あ、ずるい。私も!」ボフッ

男園児「お~思ったよりやわらけ~」

女園児「ホントだ~」

レッド「おいおい、あんまし暴れるな。先生まだ怪我治ってないんだから」

男園児「あ、ごめんなさい」

女園児「センセー大丈夫?」

レッド「二人がおとなしくしてくれてればな。それと、病院では静かにするように」

男・女園児「は~い」

ピンク「……」

レッド「ん? どした」

ピンク「いえ、レッドさ……じゃなかった紅さんって意外とちゃんと先生をしているんだなって思って」

レッド「なんだ、そんな意外か?」

ピンク「実をいうともっと子供達と同じレベルで相手をしているかと思ってまして」

レッド「おい、こら。こう見えてもちゃんと大人だ。こちとら人様の大事な子供を預かっているんだからそりゃきちんとするさ」

ピンク「ふふっ。そうやっていってると本当に先生みたいですね」

レッド「みたいじゃなくて、先生なんだよ。……ったく」

男園児「なあなあ、センセー」

レッド「ん? どしたよ」

男園児「あのお姉ちゃん誰?」

女園児「もしかして……センセーの彼女?」

ピンク「へっ!?」

レッド「ち、違うぞ。えっとこの子は先生の……そ、そう。大事な仲間だよ」

男園児「ふ~ん。それってレッドとピンクみたいなもの?」

レッド「そ、そうそう。そんな感じ。悪の組織に立ち向かう仲間みたいなもの」

女園児「そうなんですか?」

レッド「そうだよ。なっ、桃」

ピンク「……」

イエロー『でもさ、そんなに好きなら早く告白でもしたらいいのに。気持ち自体は固まってるんだから動かないと損だよ。
 あいつ、あれでも黙っていれば絵になるからね。ま、中身は熱血馬鹿って知って幻滅する人も多いけど、そこを含めて好きになる人がピンク以外に現れないとも限らないんだし』

ピンク(……やっぱり、今の私はレッドさんにとって私はただの仲間にしか過ぎないんですね。こんな状況で言うのは変かもしれないですけど、このままじゃずっとそういう認識しかされなさそうです。それなら……)

ピンク「私は……レッドさんのこと好きですよ」

レッド「へっ?」

男園児「お、おぉ~」

女園児「うわぁ~」

レッド「お、おい。それどう言う意味……」

ピンク「きょ、今日はこの辺りで失礼します。それじゃあ、お大事にッ!」

レッド「ちょ、ちょっと待てって! ……行っちまった」

男園児「うわー告白だー。センセーやるじゃん!」

女園児「センセー、あの人のこと好きなの? どうなの!?」

レッド「……どうって。この状況がどうなってんだよ……」

……



――レッド病室 電子モニター――

ブラック「で? お前はそのまま答えを聞けず悶々としたまま園児たちの相手をしてたってわけか」

レッド「かいつまんで言えばそんな感じです。っていうかわけわかんないですよ。なんで、また急にこんなことになるんですかね」

ブラック「ほ~。本当に心当たりがないのか?」

レッド「……ないですよ。だって俺あいつから好かれるようなことなんてしてないですもん。戦隊に入ってからは先輩風吹かせて口うるさいことばっか言ってましたし。ピンクが学生だっていうのわかっていながら戦隊のことを押し付けたりしてたし。
 この前だってあいつの学校に押しかけて迷惑かけましたし」

ブラック「だからどちらかといえば嫌われている方だとでも思ってたと?」

レッド「まあ……」

ブラック「アホだな~お前も。いいか、本当に嫌いならそもそも相手にすらしないだろ。嫌いな奴のとこに連絡来てすぐ見舞いに行く奴がどこにいるよ?」

レッド「それは、確かにそうですけど。でも、あいつ俺以外のみんなと連絡先交換してたし、結局俺はまだ連絡先交換してないんですよ」

ブラック「ボケ。それもさっき言ったのと一緒だろ。そもそも嫌いならそんなこと話に出さんわ。何か理由があるとか普通は考えるだろ」

レッド「っていうか、ブラックさんもしかしてアイツが俺に好意を持ってくれてるの知ってました?」

ブラック「さてな。んなことより、お前はピンクにどう答えてやるつもりだ? まさか曖昧にする気はないよな?」

レッド「もちろんそんなことはするつもりはないですよ。ただ……」

ブラック「ただ?」

レッド「いや、あいつが俺に好意を持ってくれてるのは単に年上に対する憧れなんじゃないかと思いまして」

ブラック「はぁ~。お前は本当にめんどくさいやつだな。年とって外見は成長しても中身はガキのままじゃねえか。
 いいか、一度しか言わんからしっかりと聞いておけ。もしピンクが年上に対する憧れだけでお前に好意を抱いているのなら同じ隊にお前よりもいいやつは他に二人もいる。
 渋さと大人の余裕を兼ね備えた俺。ちなみに表の世界の肩書きはインテリアデザイナーな。それからブルー。
 あいつはピンクから見れば年上に加え比較的年が近いこともあって面倒見のいい兄貴分みたいな感じだ。しかも外仕事なんてあの年頃の女の子から見れば何故か恋愛対象として好印象。
 それに対してお前はどっちつかずの中途半端な年齢。二十代後半という微妙な年に加え保父さんという世間一般から見れば地味な職業。
 わかったか? これだけでもお前より俺らを選ぶ可能性の方が高いんだよ」

レッド「なんか酷い言われようですね、俺」

ブラック「そうだ、酷い言われようだよ。でもピンクはそんなお前のことが好きって言ってんだ。もういい加減あいつの好意が本物だって認めたらどうだ?」

レッド「……そう、ですよね。こんな俺のこと好きって言ってくれてるんですよね」

ブラック「そうだ。だから、どんな答えを出すにしろきちんとアフターフォローまでしてやれよ。どっちの結果になってもお前がしっかりしないと隊がなりたたないんだから。
 頼むぞ、〝リーダー〟」

レッド「わかりましたよ。相談に乗ってもらってどうもありがとうございました」

ブラック「おう。ま、病み上がりなんだ。あんま無理だけはしないようにな」

ピッ

レッド「はぁっ。まさか、こんなことになるなんて……。一体どうすりゃいいんだよ~」

――ピンク宅 電子モニター――

イエロー「それで勢いに任せて告白しちゃったと」

ピンク「はい」

イエロー「やる気を起こすようにけしかけたあたしが言うのもなんだけれど、よくこんな短期間で気持ちを伝えられたわね」

ピンク「自分でも驚きです。でも、答えを聞くのが怖くて逃げてきちゃいましたけど」

イエロー「上出来、上出来。今頃あの馬鹿ベッドの上で悶え苦しんでるわよ」

ピンク「そうですかね……。レッドさん私のことはなんとも思ってないみたいでしたし」

イエロー「本当になんとも思ってないことはないと思うわよ。だって、本当にそうならただ仲間ってだけであなたのために皆との仲を取り持とうだなんて思わないはずだし」

ピンク「えっ?」

イエロー「本当に興味ないならさ、それこそ前にピンクが言っていたようにメールとかで適当に戦いの支持とか対策を送ればいいだけじゃない?
 なのにあいつは小まめにピンクの様子を気にしたり、この間のミーティングにこれなかった時だってわざわざ会いに行ったりしたでしょ?
 つまり、脈は少なくともあるわね」

ピンク「私、期待してもいいんですか?」

イエロー「まあ、ほどほどにね。あたしもあいつの気持ちを聞いてないからこの恋が確実にうまくいくなんて思ってないし。
 もしダメだったときはお姉さんの胸で思いっきり泣きなさい」

ピンク「ありがとうございます。あ、そうだイエローさん一ついいですか?」

イエロー「なに?」

ピンク「イエローさんの胸って、その……固くないですよね?」

イエロー「失礼な! ちゃんと本物の感触に近いように似せてあるわよ!」

……



――レッド宅――

イエロー「よいしょっと。とりあえずあんたの荷物部屋に運んだわよ。一人で部屋の中までこれそう?」

レッド「ああ。さすがにそこまで弱ってないって」

イエロー「そっ。それじゃあ、あたしは一足先にのんびりとくつろがせてもらうとするわ」

レッド「お前相変わらず自由気ままだな」

イエロー「いいじゃない、別に。遠慮するような仲でもないし」

レッド「まあ……そうだな。よいしょっと。これで、ひとまず退院して我が家に到着だ」

イエロー「結構長くかかったわね。一ヶ月くらい?」

レッド「それくらいだな。とりあえず、ここ最近は怪人たちの活動も小規模なもので助かるよ。おかげで治療に専念できる」

イエロー「もっとも、活動が活発になっても怪我人のあんたを戦いの場に出したりはしないけどね。足でまといになられるのがオチだし」

レッド「ま、そうならないように早いとこ現場復帰できるようにしないとな。
 園児たちにも結構心配かけちまってるし、早くあいつらの面倒をまた見てやらねえとな」

イエロー「なんだかんだで今の仕事気に入ってるのね。それよりも、あんた今もっと大事な用事が残っているんじゃないの?」

レッド「うっ……」

イエロー「ピンクのことよ。一体いつまで待たせるつもり? あの子は大人しいからあんたが答えを出さなきゃいつまででも待ってるわよ。
 もしそれで答えがあの子の望むものじゃなかったとき長引かせて期待を持たせた分だけ傷つくことになるんだから早めに答えを出してあげなさいよ」

レッド「わかってるよ、んなこと」

イエロー「もう、ならなんでそんなに待たせるのよ」

レッド「あのなぁ、向こうはまだ高校生だし年の差だって結構あるんだぞ。そりゃ悩むだろ」

イエロー「ふ~ん。あたしにはもっと別のことで悩んでいるようにも見えるけど」

レッド「そ、それは……。ってか、なんでそんないろいろとわかるんだよ」

イエロー「そりゃ、何年の付き合いだと思ってんのよ。そもそも、あんただってあたしが昔男であることに悩んでいたときすぐに悩んでること見抜いて相談に乗ってくれたじゃない」

レッド「ああ、そんなこともあったな」

イエロー「それと一緒。ほら、早く吐いた、吐いた。素面で言えないようなことならお酒入れる?」

レッド「いらん。はぁ……ホント調子狂うな。わかったよ、言うよ。言えばいいんだろ?」

イエロー「初めからそうしなさいよ」

レッド「……うっせ。あ~、それでな、話をするには俺がピンクのことを気にかけているところからはじめるんだが」

イエロー「別にいいわよ。早く言いなさいよ」

レッド「そっか。それじゃあ、まずは俺があいつのことを昔から知っていたってところからはじめるぞ」

イエロー「あれ、そうなの? もしかして知り合いだったの?」

レッド「まあ、一方的にな。といっても、俺もあいつがピンクになって少ししてから知ったんだけど、あいつ昔俺が助けたことのある女の子だったんだよ」

イエロー「へ、へ~。それはまたなんとも偶然な」

レッド「だろ? 確かあれは十年くらい前かな。怪人に人質にされていた少女がいてさ、その時ちょうど戦隊に入りたてだった俺が始めてリーダーとして戦ったのがそれだったんだよ。
 で、その時助けた女の子がすごく俺にお礼を言ってくれてさ、今までもそういうことあったけど、その時ようやく俺は自分が街のみんなを守れてるんだって実感したんだ。
 だから、十年経った今でもその時の子のことはおぼろげながら覚えていてさ。だから面影の重なるピンクのことを組織の方に訪ねてみたら案の定ってわけだ」

イエロー「なるほどね。でも、それがどうしてあの子の好意を受け取るのに悩む理由になるのよ」

レッド「バッカ、簡単に言うなよな。俺の中ではピンクはなんというかあの時の女の子のまんまなんだよ。
 だから、俺がしっかり面倒見なきゃって思って今まで色々と気を使ってきたんだぜ?
 それがいきなり異性として好きですなんて言われたら戸惑うだろうが」

イエロー「それで悩んでたわけね。で、そういうこと抜きにしたらあんたはピンクのことどう思ってるのよ」

レッド「かわいい……とは思う。正直俺にはもったいないくらいに」

イエロー「なら、それでいいじゃない。あんたが気づかなかっただけで、あんたの中のちっちゃな女の子はその時からずっとあんたのこと思い続けるくらい成長してたってことよ」

レッド「えっ? それって……」

イエロー「っとと、思わず口が滑った。とりあえず、あんたはいつまでも記憶にある少女とあの子を重ねてないで目の前にいるあの子をちゃんと見てあげろってことよ。
 あたしがいいたいのはそれだけ」

レッド「……」

イエロー「そんじゃ、帰るわね。あとはあんたが答えを出すのよ」

 ギィィ、バタン

レッド「イエローのやつ、言いたいことだけ言って帰りやがって。今度会ったとき覚えとけよ。
 ……目の前のあの子を見て上げろ、ね。本当にその通りだよな」

 ピッ、ピコピコピコ

レッド「……もしもし、ピンクか? あのさ、今週末お前時間あるか?」

……



レッド「……う~ん、遅いな。道にでも迷ってんのか? 一度連絡でもしてみるか……」

ピンク「はぁ、はぁ、はぁ。お、お待たせしました!」

レッド「お、おう!? なんだ、走ってきたのか」

ピンク「は、はい……やくそくの、じかんに、おくれちゃってたので」

レッド「そんなに気にしなくても良かったのに。ほら、これでも飲んで少し落ち着け」

ピンク「あ、ありがとうございます」ゴクゴク

レッド「……落ち着いたか?」

ピンク「はい。ありがとう、ございます」

レッド「おう。それにしてもだいぶ気合の入った服装だな」

ピンク「そ、それはもちろんです! だって紅さんからのお誘いですから」

レッド「あ、あ~。すまん、今の聞き方は卑怯だった。その、なんだ。その格好、似合ってるぞ」

ピンク「あ、えっ!? その……ありがとうございます」

レッド「……」

ピンク「……」

レッド「えっと、いつまでもここにいても意味ないし、そろそろ移動するか」

ピンク「はい……」

――水族館――

ピンク「うわ~綺麗。見てくださいよ、紅さん」

レッド「おっ、ホントだ。へ~普段水族館なんてこないけど結構面白いもんだな」

ピンク「そうですね。でもやっぱり休日だけあって人が多いですね」

レッド「そうだな、下手したらはぐれそうだし手でも繋ぐか」

ピンク「へっ!?」

レッド「別に他意はない。あともうちょっと落ち着け。今日一日ずっとおっかなびっくりされてちゃこっちも反応に困る」

ピンク「わ、わかりました。それじゃあ」スッ

レッド「……」

ピンク「……」

レッド(これは、思ってたより恥ずかしいな)

ピンク「そ、その。そろそろ次のエリアに向かいませんか?」

レッド「そ、そうだなっ」

……



ピンク「……潮風が気持ちいいですね」

レッド「そうだな、ただちょっと風が強いな。気をつけろよ、あんまり身を乗り出すと海に真っ逆さまだぞ」

ピンク「この橋結構高いから落ちたら危ないですね。あ、レッドさん見てください。あそこにカモメいますよ」

レッド「へえ、どこだ?」スッ

ピンク「あそこです、あそこ」

レッド「お、本当だ。へえ、結構多く飛んでんな」

ピンク「そうですね……ぁっ」

レッド「どうした? ……ッッ!」

 スススッ

ピンク「すいません、近づきすぎました」

レッド「いや、そこまで気にしなくても。さっきは手繋いでたわけだし」

ピンク「じゃ、じゃあ少しだけ大胆になってもいいですか?」

レッド「お、おう。ドンとこい」

ピンク「それじゃあ……」ギュッ

レッド「……」ドキドキ

ピンク「……なにか言ってくださいよ」

レッド「そ、そうだな……。ごちそうさま?」

ピンク「もう……。あの、もう少しこのままでいてもいいですか?」

レッド「ああ。もう好きなようにしてくれ」

ピンク「はい、ありがとうございます」ギュゥゥゥ

レッド「……」

……



――公園――

ピンク「今日はどうもありがとうございました。とても楽しかったです」

レッド「楽しめたのならなによりだ」

ピンク「それじゃあ、そろそろ私は帰りますね」

レッド「……ピンク」

ピンク「……」ビクッ!

レッド「あのさ、前に俺に言ってくれたこと覚えてるか?」

ピンク「……はい。ちゃんと覚えていますよ」

レッド「あれから色々と俺なりに考えたんだけど、聞いてくれるか?」

ピンク「はい、わかりました」

レッド「実はさ、俺昔にピンクと会っているんだよ」

ピンク「あっ……」

レッド「まあ、ピンクは知らないと思うけど十年くらい前に怪人からピンクを救った時のレッドって俺なんだ。実はピンクが新しくうちの隊に入ったとき面影が似てると思って調べさせてもらった。
 そしたら、あの時の女の子だっていうからビックリしたよ」

ピンク「それじゃあ、もしかして私の面倒とかよく見てくれてたのって……」

レッド「まあ、俺が助けた女の子っていうのもあって面倒見なきゃって思ったのが大きいかな。けど、それだけじゃないぞ。ちゃんと仲間同士の交流を深めようとも思ってたからな」

ピンク「そ、それはわかりました。私が聞きたいのはそんなことじゃなくてっ!」

レッド「うん、わかってる。それでさ、俺としては結構悩んだんだよ。だって、好きだって言われた女の子は俺の記憶の中ではまだ小さくて面倒を見ないといけない女の子だったんだから。
 でも、イエローに言われたんだ。記憶の中じゃなくて目の前にいるお前を見ろって。
 そしたら、なんていうか隊に加わってからの色んなお前の顔が一気に思い浮かんでさ。もう、頭ん中いっぱいいっぱいだよ」

ピンク「それって……」

レッド「あ~もう。まだるっこしい、こういうのは性に合わん。いいか、一度しか言わんからよく聞いておけよ。
 俺はお前が好きだ。だけど、俺は同じくらいこの街に住む人が好きだ。だから、たとえ恋人になっても戦隊の方を時には優先することも出てくる。
 それに年の差だって十もある。世間的に見たら俺はある意味犯罪者だ。ロリコンだ! だから一部の人からは付き合うことでいろいろ言われるかもしれない。
 けど、それでもお前がいいって言うんなら俺はお前と付き合いたい」

ピンク「……」

レッド「……頼むから何か言ってくれ。これでも結構恥ずかしいんだ」

ピンク「……うぇっ」ポロポロ

レッド「お、おい。なんで泣くんだよ」

ピンク「しょ、しょうがないじゃないですか。だって、無理だって思ってたんですもん。一ヶ月もなんにも言ってくれなくて、今日だって期待を持たせるようなことばっかり言ってて、もしかしたらいいのかなって思ってたんです。
 でも、もしレッドさんの答えが違ってたらと思ったら不安で……。
 だから、今こうして望んでいた答えをもらえたのが嬉しくてっ……」

レッド「あ~なんだ。その、待たせてすまん」

ピンク「ホントですよッ! 許してあげますから、その……胸を貸してください」

レッド「ほれっ」

ピンク「……」グスッ、ズビィー

レッド「うわっ、馬鹿。鼻水はねーだろ」

ピンク「すびばぜん」

レッド「ったく、しょうがねえな。そういうところも含めてこれからも面倒見てやるよ」ギュッ

ピンク「よろしくお願いします」ギュッ

……



蜥蜴怪人「ふはははっ。逃げろ、逃げろ。恐怖に怯えろ市民ども。そして我らの侵略をおとなしく受け入れるがいい!」

ブルー「そこまでだ!」

蜥蜴怪人「はっ! 来たな戦隊め。以前と同じように返り討ちにしてやろう」

ブラック「悪いけど、そうもいかなんのよ。こちらとしては前回の借りを返しておきたいしね」

イエロー「そういうこと。まっ、覚悟することね。今のあたしたちは以前と違うから」

蜥蜴怪人「ハッ! そういう大口を叩くのなら少しは期待できるんだろうな」

 蜥蜴の怪人に向かって三人の戦士たちが立ち向かっていく。そんな彼らから少し遅れて蜥蜴怪人めがけて駆け抜ける二人の戦士の姿があった。
 街を守る正義の味方。そんな彼らも人であり、恋をする。そして、今怪人に立ち向かっていくのはそんな恋を実らせ、結ばれた二人。

レッド「さて、ピンク。準備はいいか?」

ピンク「はい。行きましょう、レッドさん!」

 痛みを伴う戦いを終えた先にある心安らぐ平穏な日常を守るため、今日も彼らは戦い続ける。

レッド(26)「正義の味方の」ピンク(16)「恋愛事情」 ――完――
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建野海

Author:建野海
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名前:建野海

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好きな食べ物: 和菓子、洋菓子などデザート類。

趣味: 読書、ツーリング、ゲーム、ピアノ、映画鑑賞。

好きなマンガ:
ワールドエンブリオ
修羅の門
     3月のライオン
     エリアの騎士
     フルーツバスケット

好きな小説:ダレンシャン
      白夜行
      スロウハイツの神様
      向日葵の咲かない夏
      白い巨塔など。

好きな映画:プラダを着た悪魔
      ワイルドスピード
      僕駐
      インセプションなど。

好きなゲーム:キングダムハーツ
       テイルズ
       ルーンファクトリー
       ゼルダの伝説など

好きなアーティスト:福山雅治
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