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男の嫉妬とエルフの深愛

男がエルフに告白してからしばらく月日が流れた。そして、彼らが住む街にも少しずつある変化が訪れようとしていた。

 それは……。

エルフ「男さん! 聞いてください。今日も普通に食材を売ってもらえましたよ!」ニコニコ

男「そうか、それはよかったなエルフ」ニコッ

エルフ「えへへへ~。嬉しいです! 男さん、これって私がみなさんに少しずつ受け入れてもらえているってことですよね!」テレテレ

男「そうだな。でも、それはエルフがいつも頑張っていたからだよ。偉いぞ、エルフ」ナデナデ

エルフ「男さん……くすぐったいですよっ」テレテレテレ

男「嫌がるような口調の割には嬉しそうな顔をしてるけどな……」

エルフ「だって、皆さんに受け入れてもらえはじめたのも嬉しいですけれども、こうして男さんに褒めてもらえるのが私にとって一番嬉しいことですから……」エヘッ

男「あ、あのな……///」

互いに、互いを意識し甘い空気を作り出す男とエルフ。だが、次にエルフが発した一言が男の態度をそれまでと真逆のものにする。

エルフ「あ……そういえば、今日いろんな男の人に声をかけられましたね。みなさん、なぜか恥ずかしそうにしていましたけれど、一体なんだったんでしょう?」

男「なん……だと?」

……



エルフ「それじゃあ、今日は少し街の中を見て回ってきますね。男さんもお仕事頑張ってください!」

男「ああ、迷子になったりしないように気をつけろよ」

エルフ「も~っ! 迷子になるような歳じゃありませんよ!」

ギィィ、バタン

男「さて、エルフは予定通り出かけたな。……昨日あいつが言ってた話。もしかして、旧エルフの時みたいにエルフの身体を狙っている奴らが声をかけているかもしれないしな。
 うん、別にそんなに気にしてないけれど何かあってからじゃ遅いし、今日は仕事を休みにしてあいつをこっそり見守ることにしよう」コソコソ

ギィィ、バタン

――街中――

エルフ「~~♪ この街はいいですね~。周りは自然で一杯ですし、空気も澄んでいておいしいです。今までは男さん以外の人は私がエルフだってことで避けられていましたけれど、最近は少しずつ話してくれる人も増えてきてくれました」

エルフ(でも……男さんはあの告白以来中々手を出してくれようとしません。やっぱり、私の身体がまだ子供だからなのかな……。ちょっとは身体つきもよくなったと思いましたけど、他の大人の女性に比べるとまだまだ貧相ですよね……。
 これでも頑張って男さんに女の私をアピールしてるのに、男さんってば私がギュっ! て抱き着いても顔色一つ変えないで『こら、あんまりそんな風にしているとはしたないぞ』なんて言って……。
 もっと、もっと男さんと触れ合って、温かい気持ちになりたいのにな……)ションボリ

エルフ「めげるのはなしです! 男さんに気持ちを受け入れてもらえたことだけでも奇跡みたいなものなんですから!」

エルフ「でも、やっぱりもっと触れ合っていたいなぁ……」

――エルフ後方――

男(今のところエルフの近くに男が来る気配はないようだな。というか、あいつはホントにのんびりと散歩しているだけなんだな……。お金も必要な分は持たせてあるし、てっきり何か買いに行くかと思ったけど。
 そういや、旧エルフの時はあいつが普段何やっていたとか日記でしか知ることができなかったんだよな……)

男(いい機会だし、今日はエルフがどんなことをして普段過ごしているのかちょっと見てみるか)

――広場――

エルフ「う~ん。さすがにちょっと歩き疲れましたね。太陽が真上にありますし、そろそろお昼時ですね……」

エルフ「男さんにお金は貰ってますし、何かお腹が膨れそうなものを買うことにしましょう」トコトコ

エルフ「広場ですし、たくさん露店がありますね。何を食べましょう」キョロキョロ

露店店員「へいらっしゃい。新鮮な果物はいかがかな?」

アラ、ヨカッタライタダコウカシラ

ワタシモ、ワタシモ

エルフ「あの、私にもその果物売っていただけますか?」オズオズ

露店店員「……あんたが噂のエルフか」ジーッ

エルフ「えっ?」

露店店員「……ふうん、エルフっていうからもっと怖いもんだと思ってたけど、案外かわいいんだな」ジーッ

エルフ「かわ、かわいいだなんて……。あの、そんなじっと見ないでください」テレッ

露店店員「ああ、悪かったな。ほら、果物が欲しいんだろ?」

エルフ「あっ、はい。でも、売ってくださるんですか? 私、エルフなの」

露店店員「金さえ払ってくれんなら別に問題ないさ。俺は別にエルフに恨みがあるわけでもなんでもないからな」

エルフ「ありがとうございます。それじゃあ、これっ」チャリン、チャリン

露店店員「毎度っ! はい、果物」サッ

エルフ「どうも」サッ

ギュッ

エルフ「?」

露店店員「ふむ、肌触りも俺たち人間と変わらないんだな。なんだ、案外普通だな。やっぱり聞いただけの話と実際に触ってみるのじゃ全然違うもんだな……」フーム

エルフ「あ、あの! すみませんが、私もう行きますので///」サッ

タッタッタッ

男「……」ピキピキ

露店店員「顔真っ赤にしちゃってかわいいな。エルフも案外いいものかもな……」ジーッ

男「……おい、ちょっといいか?」

露店店員「ん? なんだい、お兄さん」

男「いや、少し話がしたいと思ってね……」ゴゴゴゴゴ

露店店員「……」ビクビク

男「とりあえず、路地裏に行こうか」

露店店員「……はい」テクテク

……



エルフ「のんびり~♪ のんびり~♪ たまにはこうやってゆったりした時間もいいですね~。一つ不満があるとすれば男さんが一緒にいないことですかね……。でも、男さんも仕事を頑張っていますし、無理を言うわけにもいきません。
 ……そうだ! 帰ってきた男さんの疲れが少しでもとれるような案を何か考えましょう!」パンパカパーン

エルフ「おいしい料理がいいかな~。それとも、疲れを取るのに聞きそうな香を焚くのがいいかな~。何をすれば男さんは喜んでくれるでしょうか?」

エルフ「男さんが喜んでくれるのを想像すると自然と口元が緩んじゃいます。恋人……ですもんねっ」エヘヘ

エルフ「そうだっ! あれにしましょう……」ルンルンッ

――エルフ後方――

男(ひとまず、エルフに軽々しくスキンシップを取ったあの露店店員には灸をすえておいてやった。僕としたことがついムキになって昔を思い出してしまったよ……)

男(にしても、エルフのやつ僕がいるってのにあんな見ず知らずの男に身体を触れられて、あんなに喜んで……。もしかして、最近あんまり構ってやってなかったからか?
 いやいや、だってエルフだぞ。自分で言うのも何だけどあれだけ僕にべったりなエルフだぞ?
 なんだろう、このもやもやした感じ。なんか、あいつが他の男と仲よさそうにしているの見てたくないなぁ。もしかして、僕嫉妬してるのかな……)

――とある店――

エルフ「着きました! ここです」ギィィ、バタン

老紳士「おや、エルフさんじゃありませんか? どうかしたのですか?」

エルフ「おじいさん! こんにちは!」ニコニコ

老紳士「こんにちは。珍しいですね、お店の方に君が来るなんて」

エルフ「はい。いつもお会いするのは外ですもんね。こっちにも来たいとは思っているんですけれど、普段は私がいると他の人が気まずい思いをしちゃうと思うので……」エヘヘ

老紳士「そんなことは気にしなくてもいいんですよ。この店の中ではエルフも人間も関係ありません。一人、一人が私の大事なお客さんです」

エルフ「おじいさん……」

老紳士「それで? 改めて聞きますが、今日はどうしたんですか?」

エルフ「あっ、はい。実はですね、私が普段お世話になっている人の疲れを取ろうと思いまして。それで、いくつか方法を考えたんですけれど、そのうちの一つをして疲れを取ろうと考えて……。
 ただ、私はそれに関してあんまり詳しくないので、物知りなおじいさんなら詳しく知ってそうだと思って今日はここを訪ねたんです」

老紳士「ほう……そうですか。それはあなたがいつも私に話してくれる男さんのことですか?」

エルフ「……はい///」テレテレ

老紳士「なるほど、なるほど。いいですね、若いというのは。いいですよ、私の知っていることであれば喜んで教えて差し上げます」ニコッ

エルフ「おじいさん……。ありがとうございます!」ニコッ

……



エルフ「ありがとうございました~」

老紳士「いえいえ。では、またお会いしましょう」

エルフ「はい!」ルンルンッ

男「……」ジーッ

テクテク

男「あの、すみません」

老紳士「はい、なんですか?」

男「今、エルフの女の子がこの店から出て行ったんですけれど何か買っていきましたか?」

老紳士「さあ? お客様の個人的な情報を明かすわけにはいきませんので」

男「そうですか。すみません、突然こんな質問を……」

老紳士「いえいえ、気にしていないので構いませんよ。それにしても、あなたがあの子の言っていた男さんですか……」

男「え? はい、確かに僕がそうですけれども」

老紳士「ふむ、優しそうな目をしていますね。あの子が貴方を慕う気持ちも分からなくはない。あなたの周りはとても居心地がいい」

男「そんな……勘違いですよ。僕は、もっとひどい人間です」

老紳士「ふふっ。確かに、あの子に仕事だと嘘をついてこっそりと後を付いていくだなんてあまりいい趣味ではありませんね」

男「えっ!? どうして仕事に行ったってことを……」アセアセ

老紳士「いえ、中であの子から聞いたもので」

男「そうだったんですか」

老紳士「できることなら、あの子がここに来たことは見なかったことにしてあげてください。それと、日が暮れてからあの子の元に帰るとより良いですね」

男「何かあるんですか?」

老紳士「それを私の口から告げるのは……。まあ、帰ってからのお楽しみということで」

男「はあ……。それが必要であればそうしますが」

老紳士「そうそう。なるべく疲れた様子を見せるとあの子も喜んでくれると思いますよ」

男「?」

老紳士「わからなくてもやってあげてください。それが彼女への気遣いというものですよ」

男「わかりました。それよりも、一つ伺ってもよろしいですか?」

老紳士「なんですか?」

男「えっと、あなたはエルフと仲良くしてくださっているみたいですけれど、一体どういう関係で?」

老紳士「……なに。単に老い先短い爺と、そんな爺との会話に付き合ってくれる、かわいらしい話し相手という関係ですよ」ニコッ

……



男「ただいま~」ギィィ、バタン

エルフ「あっ! 男さん、おかえりなさい!」ニコニコ

男「あ、うん。えっと、エルフ。今日はどうだった?」

エルフ「楽しかったですよ! 男さんもお仕事お疲れさまです!」

男「うん……」

エルフ「なんだか、お疲れですね」ニコニコ

男「あ、あ~。確かにちょっと疲れたかもね」チラッ

エルフ「! そ、そうですか! えへへっ。それじゃあ、ちょっと部屋に行って待っててください」

男「部屋に? なんでまた」

エルフ「い、い、で、す、から! 早く、早く!」グイグイ

男「わかったって。だから、そんなに背中を押すなよ」

エルフ「待っててくださいよ~」ニコッ

……



男(部屋に戻って待っているものの、中々エルフのやつ来ないな……)ボーッ

男(なんだか、ちょっと眠くなってきたな)ファァッ

男(……あふっ)パタン

ギィィ

エルフ「お~と~こ~さんっ!」パッ!

エルフ「お待たせしました……って、あれっ?」ジーッ

エルフ「男さん、寝ちゃってます。せっかくおじいさんに教えてもらったマッサージを疲れてる男さんにしようと思ったのに……」グスン

エルフ「でも、男さんの寝顔を見るのも久しぶりですね……」チラチラ

エルフ「……」チュッ

エルフ「えへへへっ。ごめんなさい、男さん」ゴソゴソ

コソッ

エルフ「今日は一緒に寝てくださいね」ギュッ

……



男「……う、ううん。もう、朝か?」

男(しまったな、エルフを待っているうちに寝ちゃった……)

ゴソゴソ

男「……ん?」バッ

エルフ「……」スースー

男「まったく、いつの間に潜り込んだのやら。困った子だな」ヨシヨシ

エルフ「ぅ、ぅぅん……」スースー

男(こんなに無防備に傍にいられたんじゃ昨日の僕の嫉妬が馬鹿みたいだな……。エルフは僕のことちゃんと慕ってくれてるんだ。たまにはきちんと僕の方からもエルフのことを好きだって態度を表さないとな……)ナデナデ

エルフ「うう……んっ」デレデレ ニコニコ

男「……」フフッ

男「エルフ……好きだよ」チュッ

ギィィ、バタン

エルフ「……私も、大好きですっ」ポッ

エルフ「……そ~っ」男「こらっ!」 after story 男の嫉妬とエルフの深愛 ――完――
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建野海

Author:建野海
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名前:建野海

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好きな食べ物: 和菓子、洋菓子などデザート類。

趣味: 読書、ツーリング、ゲーム、ピアノ、映画鑑賞。

好きなマンガ:
ワールドエンブリオ
修羅の門
     3月のライオン
     エリアの騎士
     フルーツバスケット

好きな小説:ダレンシャン
      白夜行
      スロウハイツの神様
      向日葵の咲かない夏
      白い巨塔など。

好きな映画:プラダを着た悪魔
      ワイルドスピード
      僕駐
      インセプションなど。

好きなゲーム:キングダムハーツ
       テイルズ
       ルーンファクトリー
       ゼルダの伝説など

好きなアーティスト:福山雅治
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