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エルフが嫉妬する話

エルフを受け入れるようになってから少し月日が流れた。今まで以上に過激なスキンシップを取り出したエルフに戸惑う男。
そんな二人の元にある少女が訪れようとしていた。

?「……ここが、先生のいる家……」

?「先生、ようやくあなたの元へ来ることができましたよ」

エルフ「男さん! おはようございます!」ベタァー

男「こらっ、エルフ。ひっつくんじゃない!」ハガシ、ハガシ

エルフ「えへへへ~」ベタベタ

男「ええい、めんどくさい奴だな」ベリベリ

コンコン、コンコン

男「……あっ! ほら、エルフ。誰か来たから離れてくれ」

エルフ「はい、わかりました」ションボリ

男「……」テクテク

ギィィ

男「はい、はい。どちらさまで……っ!」

?「お久しぶりです、先生」

男「え、え? なんで……」

エルフ「男さ~ん。誰が来たんですか?」

男「い、いや。それは……」アセアセ

?「あれ? 誰か中にいるんですか?」

男「すまん、ちょっと待ってて!」バタン

?「……?」

男「エルフ、ちょっとこっちに来い」

エルフ「どうかしました?」トコトコ

男「いいか、今から僕の言うことを聞くんだ。これを破ったら本当に死ぬと思え」ジッ

エルフ「きゅ、急にどうしたんですか……。そんな怖い顔されても困ります」

男「真剣に聞け! 今玄関の向こうにいるのは僕が軍にいた時に一緒の隊にいた人間だ」

エルフ「それって以前ここに来られた騎士さんみたいな方ですか?」

男「まあ、あいつも一緒の隊にいたけれどそれは別に問題じゃない。確かにあいつはエルフが嫌いだが無抵抗なエルフに手を出したりしない」

エルフ「えっと、つまり?」

男「あの扉の向こうにいるのは騎士と違って隙あらば無抵抗なエルフだろうと殺すやつだ。それこそ、昔の僕と同じくらいエルフを憎んでる。
 一応君に手を出させないようにするが万が一ってことがあったら困る。だから、今日一日は森にでも行って隠れていてくれ。今なら、まだ裏口から抜け出せるから」

エルフ「わ、わかりました……。それで、男さん。一つだけ聞いてもいいでしょうか?」

男「なんだ? あまり待たせても怪しまれるから急いでくれ」

エルフ「今から男さんがお会いするのって女性ですか?」

男「そうだよ。わかったのなら、早く出る!」シッシッ

エルフ「……いや、です」

男「なんだって?」

エルフ「嫌です、嫌です! 男さんと他の女性を二人っきりにさせるなんて嫌です! 私もここに残ります!」イヤイヤッ

男「言うことを聞いてくれ! このままじゃ、本当に洒落にならない……」

?「先生、もう入ってもいいですか?」

男「ああああああああぁぁぁ! 待って、もう少し。あと少しだから!」

?「そうですか。先生がそう言うなら待ちますね」

男「もう時間がない……こうなったら力ずくで!」ヒョイッ

エルフ「あっ!? 男さん!」ジタバタ

男「こらっ! 暴れるな! いいな、お前は今日一日家に帰ってきちゃいけないぞ。街中で僕の姿を見ても近寄るな!」キッパリ

エルフ「い~や~で~す!」ジタバタ

男「じゃあ、そういうことで!」ポイッ 

バタンッ!

エルフ「……」グスン

エルフ「今から、どうしましょう……」

男「……ふう。どうにか間に合った」

?「何が間に合ったんですか?」

男「うわっ! 気配を消して近づかないでくれ驚くから」

?「何言ってるんですか。これを教えてくれたのは先生ですよ」

男「そういえば、そうだっけ。ていうか、何度も言っているけれど、その先生ってのは止めてくれ」

?「先生は先生です。私の尊敬できるたった一人の男性です」

男「大体今の僕はもう軍に所属していないから君の上司でも何でもないんだ。だから普通の呼び方をしてくれよ、女魔法使い」

女魔法使い「先生にそう言われたら仕方ありません。……男さん。これでいいですか?」

男「ああ、それでいいよ。久しぶりだね、女魔法使い」

女魔法使い「……はい。お久しぶりです」

男「今日はまた急にどうしたんだ? 今まで騎士が来ることはあったけれど女魔法使いが来てくれたのは初めてじゃないか」

女魔法使い「いえ、少しお話したいことがありまして」

男「そっか、とりあえず座ろうか」テクテク

女魔法使い「その前に男さん。一つ聞いてもよろしいですか?」

男「えっ? なにかな?」

女魔法使い「この家、エルフの匂いがするんですけれど」ジーッ

男「き、気のせいだと思うぞ」アハハハ

男(女魔法使い昔と全然変わっていないな。こりゃ、エルフのやつを見つけたら問答無用で手にかけそうだ……)

女魔法使い「いえ、微かに匂います。男さんは感じないんですか? エルフ独特の匂いを」ジッ

男「さ、さあ?」ギクッ

女魔法使い「おかしいですね……」

男(し、心臓に悪い……)

――外窓――

エルフ「男さん、何話しているんでしょう。分かってはいますが、全く声が聞こえません」ジーッ

エルフ「それに、あの小柄な女の子。随分と男さんに馴れ馴れしい感じで接している気がします。たしか、軍の人ですよね。ま、まさか男さんを狙ってわざわざここまで!?」グヌヌ

エルフ「男さんの心に住み着くのは私の役目です! あんなポッと出の女の子に男さんの隣を奪われてなるものですか!」

エルフ「決めました。今日は二人の様子を見ながら、男さんと、あの女の子が仲良くならないように妨害工作です」パンパカパーン

男(うっ……悪寒が。まさか、エルフのやつが馬鹿なことを考えているとかじゃないだろうな……)

女魔法使い「どうかしましたか?」

男「いや、何でもないよ。それで、今日は一体何の用なんだ?」

女魔法使い「はい。単刀直入に聞きます。男さん、軍に戻ってきてください」キッパリ

男「こりゃ、また随分と直球だな」

女魔法使い「男さんがいなくなってからも私はずっと軍に残って世の中のために働きました。でも、やっぱり男さんがいた時が一番効率よく物事が進んでいました。軍にはまだ男さんの力が必要なんです!」

男「それは買いかぶりすぎだよ。だいたい、僕が軍に所属していた時は下っ端もいいところだったじゃないか」

女魔法使い「何言ってるんですか! 男さんは下っ端なんかじゃないです。私たちの分隊が一体あの戦時中にどれだけの功績をあげたか……。今の騎士さんの立場を見ても分かることです」

男「それはあくまで騎士の話であって……」

女魔法使い「私、知ってるんですよ。騎士さんが何度も男さんの家に訪れて軍に戻るように説得しに来ていること。男さんを軍に戻すためにそれ相応の地位を用意しているってことも」

男「……」

女魔法使い「戻ってきてください、男さん! 私たちには……いえ、私には男さんが必要なんです! また、昔みたいに私に魔法を教えてください」

男(……女魔法使いの顔、真剣そのものだ。これは、下手に誤魔化さないでありのままの思いを伝えるのが一番かもしれないな)

男「……ごめん。やっぱり、戻ることはできないよ」

女魔法使い「どうしてですか!?」

男「昔と今じゃ何もかも違う。状況も、心の在り様も。それに、あの時と違ってもう戦争は終わったんだ。軍なんてものが今あっても人々の脅威になるだけだよ」

女魔法使い「そんなことありません! 野生の魔物の脅威から人々を守ったり、まだ反逆の機会を狙っているエルフを捕まえて、起こりうる事件を未然に防ぐことだってできます」

男「だとしても! 今の僕は……軍に入って活動をしたいと思わない。都市部から離れたこの辺鄙な街で穏やかに静かに暮らして行きたいんだ」

女魔法使い「そん……な。本気、なんですか?」

男「ああ、本気だよ。騎士にも女魔法使いにも悪いけれど僕は軍に戻るつもりはない」

シーン

女魔法使い「……」

男(ちょっと、きつく言いすぎたかもしれないな。でも、このくらい言っておかないと女魔法使いも引かないだろうし。仕方ないよな……)

女魔法使い「……うっ」

男「?」

女魔法使い「……うぅぅ。――ひぐっ、えぐっ。うわぁぁぁん」グスグス

男「……えっ?」

女魔法使い「嫌です、嫌です。先生、戻って来てください。私、急に先生がいなくなっちゃって寂しかったんですよ? 必死に行方を探して、それでも見つからなくて。やっと騎士さんが見つけて会いに行こうと思ったら
『しばらく俺が会いに行くからあいつのことは放っておいてやれ』って命令されて……。
 でも、いつまで経っても会いに行く許可が下りなかったから、こうして騎士さんの目を盗んでこっそりと来たんですよっ!
 なのに、なのに一緒に来てくれないってどうしてですか? 私たちのこと嫌いになっちゃったんですか?」

男「いや、そういうわけじゃ……」

女魔法使い「だったら、だったら一緒に来てください!?」

男「だからそれはできないって」

女魔法使い「……うわぁぁぁん」グスグス

男「困ったなあ……」ハァァ

――外窓――

エルフ「むむ、あの女の子泣いてしまいました。これはもしや、男さんに告白して振られたと思われます!」ニヤッ

エルフ「これは、私が手を出すまでもなかったですね……」

エルフ「今日のご飯はおいしくなりそうです」フフフ

男(ひとまず、女魔法使いを泣きっぱなしにするわけにもいかないし……。慰めるとしよう)

男「ごめんね、女魔法使い」ヨシヨシ

女魔法使い「……ひっく」ギュッ

男(服の裾握りしめて、相変わらず妙なところでかわいい仕草するな、この子は……)

男「いい子、いい子」ヨシヨシ

女魔法使い「……」ギュウゥゥッ

――外窓――

エルフ「な、な、なんですかあれ! 男さんが、私以外の女の子の頭を撫でてます! そんな……」

エルフ「うぅぅ。こんなことなら、もっと身体を使って他の人に関心がいかないように男さんを誘惑しておくべきでした」ギリギリ

エルフ「こんな光景見ていたくないですけれど、いざという時にいつでも妨害できるようにしなければいけませんし……。もどかしいです」グスン

男「ほら、もう大丈夫か?」

女魔法使い「はい……。すみません、ご迷惑をおかけして」グスッ

男「迷惑だなんて。僕と女魔法使いは家族みたいなものなんだからそんなこと思わないよ」

女魔法使い「家族……ですか」シュン

男「うん。軍には戻ることはできないけれど、こうして女魔法使いと僕との間に繋がりはちゃんとあるから、生きていればまたこうして会える。
 だからさ、軍っていう狭い場所ばかりに目を凝らさないで、もう少し広い視点で色んなものを見てみようよ。そうすれば、新しいものが見えたりするからさ」

女魔法使い「……はい」

男(これでひとまずは安心かな。それにしてもわざわざ会いに来てくれたのに、このまま返すなんて言うのも悪いよな……)

男「ねえ、女魔法使い。もしよかったら今から街を見て回らないか?」

女魔法使い「……はいっ!」パアァァッ

――市場――

女魔法使い「へえ、この果物。都市部だとなかなか売られていなくて珍しいものですね」

男「そうなの? 普段当たり前のように食べているから珍しいものだなんて思わなくなってたよ」

女魔法使い「男さんはもう長い間都市部を訪れていませんからね……。向こうもこの数年でだいぶ様変わりしたんですよ」

男「そうなのか。また機会があったら都市部の方にも足を運んでみようかな……」

女魔法使い「ぜひ! その時は私が案内をしますね」

男「ああ、よろしく頼むよ」

――遠くの壁――

エルフ「あうぅぅ。男さんとあの女の子、二人で楽しそうに市場を見て回ってます……。私でも最近は男さんとあんな風に出かけていないのに……」グスン

エルフ「でもでも。このまま二人の仲が良くなるのは阻止しなければなりません! ひとまず果物を買いましょう」スイマセーン

店主B「……」

エルフ「すいません! 果物売ってください」

店主B「……」プイッ

エルフ「……どうしましょう、このままじゃ男さんと一緒にいる女の子の妨害ができません」

店主B「……!」

――以下回想――

 男にボコボコにされた時……。

――回想終了――

店主B「はん、エルフになんぞ売るもんはないな」ガクブル

エルフ「……そう、ですか」シュン

店主B「売るもんはないが、好きなのひとつ持っていっていいから、とっとと失せろ!」

エルフ「え? は、はい……」スッ

トットットット

エルフ「ふふふ……。この苦い果物をあの女の子に食べさせればきっと嫌な顔をするに違いないです。
 そうして、お腹を下して男さんの前で恥をかかせてあげます」フフフ

エルフ「完璧、完璧です!」ニヤッ

エルフ「早速行動に移りましょう。とりあえずこれを誰かに運んでもらわないと」キョロキョロ

エルフ「……」ハッ!

エルフ「しまった! 私、ここに頼れる人がいませんでした……」ショボーン

エルフ「これ、どうしましょう……」

女魔法使い「……はぁ、はぁ、はぁ!」

男「女魔法使い、大丈夫?」

女魔法使い「え……? なにが、ですか?」

男「いや、かなり息切れてるけれど……。もしかして、まだ人ごみが苦手なの治ってない?」

女魔法使い「そ、そんなことないですよ。男さんと別れてからもう何年も経っているんです。その程度の弱点は克服しました……」ゼーハー

男「そ、そうなんだ」

男(相変わらず、自分の弱いところに対しての指摘にはムキになるな……。でも、この子は人に知られないところでこっそりそれを治そうとするんだよな。
 今もきっと、人ごみになれる努力はしているんだろうな……)

女魔法使い「……はふぅ」ゼーハー

男「あ、あ~。ちょっと、僕喉が渇いたな……」チラッ

女魔法使い「……え?」

男「市場をずっと見て回るわけにもいかないし、ちょっと座って落ち着ける場所に行って休憩でもしようか」テクテク

女魔法使い「はい、分かりました」トコトコ

――二人から遠く離れた人ごみの中――

エルフ「むむむ、だから男さんの横は私の居場所だって(予定)言ってるのに……」

エルフ「男さんの言ってた旧エルフさんがまだ一番ですけれども……。いずれは、私の場所になるんです! その場所を掠め取ろうだなんていい度胸です。次こそは目にもの見せてあげます!」テクテク

エルフ「……」ソーッ

男「……?」チラッ

エルフ「はっ!」ササッ

男「……気のせい、か?」テクテク

エルフ「……ふぅ。危ないところでした。今見つかっていたら男さんにものすごい怒られるところでした。勝手についてきてるって知れたら、しばらく口も聞いてもらえなさそうです……」

エルフ「そういえば、家を出される前男さんが女の子のことについて何か言っていたような気がしましたが、なんでしたっけ?」ウーン

エルフ「忘れているってことは、たぶんたいしたことじゃありませんね。このままバレないように尾行を続けます」ササッ

男(なんだか、さっきから見られているような気がするんだよな……。でも、悪意とかは感じないし何だろうな、これ)

女魔法使い「せんせ……じゃなかった、男さん?」

男「ん? あ、ごめん何だった?」

女魔法使い「いえ、ボーっとしていたみたいなので。それより、休憩するというお店はどこですか?」

男「ああ、それならもう……ほら、ここだよ」

ギィィ、バタン

酒場の主「ん? あんたは……」

男「久しぶりです。覚えてますか?」

酒場の主「ああ、あんた少し前によくウチに飲みに来てくれていた。なんだ、ずいぶん久しぶりだな」

男「ええ、色々ありまして……」

酒場の主「まあ、なんだっていいさ。ウチは酒を出すのが仕事だからな。そういった個人の事情はあまり聞かないでおくよ。
 今日はゆっくりして行ってくれ」

男「ありがとうございます。とりあえずですね、酒じゃない飲み物を二つお願いします」

酒場の主「お? 言ったそばから酒を断るとはこりゃ、本当に何かあったみたいだな。可愛らしい彼女も連れて、あの時とは随分と様子が変わったみたいだな」ガハハハ

女魔法使い「……彼女」ボソッ

男「いや、この子は……」

女魔法使い「……!」ギュウゥゥゥ

男「いたたたたっ!? 女魔法使い、なんで急に腕をつねるんだよ」

女魔法使い「……」ツーン

酒場の主「はははっ、こりゃ聞いちゃいけないことを聞いちまったかな? ほら、ドリンクお待ち」ドン

男「ありがとう。今の時間なら酒場に来る人も少ないし、しばらくの間ここでのんびりとしてようか、女魔法使い」ニコッ

女魔法使い「はい、先生……」コクコク

――酒場の入口――

エルフ「ぐぬぬぬ。男さんと女の子が二人で一つのアップルパイを分けあっています……」ムムム

エルフ「妨害しようにも中に入ったら隠れる場所もありませんし、こうして見ていることしかできないとは……」

エルフ「なんにも出来ないのは悔しいです。ただ二人の様子を見ているだけなんて、とても歯がゆいです……。男さんはやっぱり昔の友人と一緒のほうがいいんでしょうか?
 騎士さんと一緒にいる時の男さんはいつも楽しげですし……」ウゥゥゥ

エルフ(でも、我が儘を言えば、男さんにはずっとここで一緒に暮らして欲しいです。私と……一緒に///)カァァ

エルフ「男さん……一人ぼっちは寂しいです。早く、帰ってきてください……」

……



男「結構長い間のんびりしていたな……。もう夕方か」

女魔法使い「なんだか、こんなにゆっくりしたのはすごく久しぶりな気がします」

男「あはは。普段どんな生活しているんだよ。といっても、軍に入っているんじゃそうそう休む機会もないか」

女魔法使い「一応休みは取れてはいるんですけど、普段は休みがあっても寝て過ごしているだけですので、こうして街を巡ったりすることがなかなかなくて。たまに女騎士さんに連れて食事に行くくらいですかね」

男「そうなんだ。女騎士も元気にしてるかな……」

女魔法使い「気になるなら、都市部に来てくださいよ先生」

男「そうだね、近いうちに一度顔を出すとするよ。何も言わず勝手に出て行った手前、女騎士には殴られそうな気はするけれど……」

女魔法使い「それぐらいは我慢してください。私だって先生がいなくなった時、すごく悲しくて怒れたんですから……」

男「うん、ホントごめん。というより、結局呼び方戻っちゃってるな」

女魔法使い「あ、すみません。どうしても先生の方が呼び慣れていて……」

男「ううん、いいよ。なんていうか無理に直そうとしても無駄なんだってことが改めてわかったから……」

女魔法使い「それじゃあ、私はそろそろ帰ります。一応ここには黙ってきているので、帰って女騎士さんに怒られるのは覚悟しておきます」ションボリ

男「何かあったら僕のせいにしておいていいから。門のところまで見送るよ」

女魔法使い「いえ、ここで結構です。それよりも先生は私たちの後をずっと付けてきていた人のところへ行ってあげてください」

男「……!」

女魔法使い「その人がどんな人なのか私はあえて聞きません。でも、私と一緒にいる間、先生がその人のことをずっと気にかけていたのに気づきましたから。だから、早く迎えに行ってあげてください」

男「女魔法使い……」

女魔法使い「その代わり、絶対に都市部の方に顔を出してくださいね。みんな、先生のことを待っていますから」ニコッ

男「ああ、約束する」

女魔法使い「……」

男「……」

女魔法使い「それじゃあ、行きますね」

男「ああ、また会おうな」

テクテクテク

――男の家――

エルフ「結局二人とも長い時間酒場の中にいたので、途中で帰ってきてしまいました。いつ男さんが帰ってきてもいいように夕飯の準備もしなくちゃいけませんでしたしね!」トントン、コトコト

エルフ「あれ、玉ねぎを切っているせいか、目がしみます」グスグス

エルフ「だ、大丈夫ですよ。男さんは帰ってきてくれるはずです……だいじょうぶ、です」グスッ

エルフ「……ふぇ」

ギィィ、パタン

男「ただいま~」

エルフ「あ……」チラッ

男「よかった、帰ってたのか。今日は悪かったな、一日放っておくことになっちゃって。女魔法使いも帰ったし、もう大丈夫だぞ」

シーン

男「あ、あれ? エルフ……?」

エルフ「男さんの……」

男「えっ……?」

エルフ「馬鹿ぁっ!」ポカポカ

男「いたっ! ちょ、ちょっとエルフ……」

エルフ「ばか、ばか! ひどいです、私のこと放っておいて女の子と仲良く遊んで……。私だって男さんと遊びたいのに……」グスッ

男「エルフ……」

エルフ「……ふぇぇぇん」ポロポロ

男「ごめんな、エルフ。最近お前の相手をあんまりしてやれてなかったな」ナデナデ

エルフ「いいんです、仕方ないことですから。でも、ちょっぴり不安になるんです。私のこと本当は必要としていないんじゃないかって考えちゃうんです。私なんて、男さんの横に他の女の子がいるのも嫌な心の狭いエルフです」

男「嫉妬、してたのか? 女魔法使いに」

エルフ「……はい」グスッ

男「そっか。可愛いな、エルフは」ナデナデ

エルフ「……うう」テレテレ

男「なあ、エルフ」

エルフ「はい?」

男「明日、二人で遊びに出かけるか」ニコッ

エルフ「……はいっ!」ニコッ

エルフ「……そ~っ」男「こらっ!」 after story エルフが嫉妬する話 ――完――
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こねこ時計 ver.3

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プロフィール

建野海

Author:建野海
扉の中の部品たちへようこそ。

名前:建野海

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好きな食べ物: 和菓子、洋菓子などデザート類。

趣味: 読書、ツーリング、ゲーム、ピアノ、映画鑑賞。

好きなマンガ:
ワールドエンブリオ
修羅の門
     3月のライオン
     エリアの騎士
     フルーツバスケット

好きな小説:ダレンシャン
      白夜行
      スロウハイツの神様
      向日葵の咲かない夏
      白い巨塔など。

好きな映画:プラダを着た悪魔
      ワイルドスピード
      僕駐
      インセプションなど。

好きなゲーム:キングダムハーツ
       テイルズ
       ルーンファクトリー
       ゼルダの伝説など

好きなアーティスト:福山雅治
          宇多田ヒカル
          UVERworld
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