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ハヤテのごとく! ss「黄昏の幻」1

※このssの始まりはハヤテのごとく! 25巻の3話からのifの物語です。

「黄昏の幻」


ゴーン、ゴーン、ゴーン。

深夜12時。ほぼ全壊した屋敷の大時計から鐘の音が響く。シンデレラのように魔法にかかった時間は終わりを告げる。

悪夢は去り、残されたのは少年と少女。

「そうね……。これから私に必要なのは……」

覚めない悪夢から目覚めさせてくれた少年、綾崎ハヤテを見つめて天王洲アテネは呟いた。

10年前、互いのすれ違いから離別し、別れた後悔を胸に抱きながら過ごした日々。

風の噂で彼が生きていることはわかったけれども、両親にひどい扱いを受けていることを知った。

いつかきっと、力をつけてハヤテを救ってみせると誓ったはずだった。

しかし10年たった今、ハヤテはアテネではなく別の人物によって救われ、そしてその人物によってアテネもまた救われることになった。

「もうこんなに時間になったんだ」

鐘の音がなったことによって、ようやく今が何時なのかを知ったハヤテは少しだけ心配そうな顔をする。

それを見たアテネは、ハヤテがこれほどまでに心配をするお嬢さまがどんな人物なのかが気になった。

「ねえ、そのお嬢さまってどんな人なの?」

「えっと……。基本的にはいつも怒っているよ」

「えっ! 怒ってる?」

「うん。自分にとって理不尽なことがあると怒って、すぐに拗ねだしたり、なかなか外に出ようとしなくて一日中屋敷にこもってゲームをしている時もあるね」

「……なんだかとても自由なお嬢さまなのね」

「まあ、確かに自由すぎて困ることもちょっとはあるんだけどね。でも、今の僕があるのは全部お嬢様のおかげなんだ。
お嬢さまのおかげでたくさんのことを経験して、たくさんの人と出会って、こうしてアーたんを助けることもできた。
だから、今の僕にとってお嬢さまは……自分の命そのものなんだ」

ハヤテは満面の笑みを浮かべて、断言した。

自分の命そのもの。

ハヤテにとって、そのお嬢さまという存在が他のなにものにも代えがたい存在なのだと。アテネはこの時悟った。

「ハヤテ!」

突然、アテネはハヤテに抱きついた。

状況が飲み込めていないハヤテは戸惑い、どうしたらよいのかわからないようだ。

(ハヤテにとってそのお嬢さまは恩人で、かけがえのない存在で、主だ。
できることならハヤテには私と一緒にずっといてほしい。
そして、もう一度私の執事を……。
でも、そのお嬢さまは私とハヤテのために全財産を投げ捨ててくれた。)

アテネの心は自分の望みとハヤテの主への恩の間で揺れていた。

(ハヤテと別れたくない! でも……)

「アーたん?」

「――ハヤテ、あなたとお嬢さまはこれからどうするの?」

「僕とお嬢さま?」

「そうよ。だって、全財産がなくなったのでしょ? そうしたら住むところもなくなると思うのだけれど」

「どうするのかな? お嬢さまのことだから何か考えているとは思うけれど。もし、考えがなかったとしても僕がどうにかしてみせるよ」

「……そう」

(たぶん、ハヤテのお嬢さまは先のことを考えずに私たちを助けてくれたのよね。だとしたら新しく住む場所なんてまだ考えていないかもしれないかもしれない。)
今回助けてもらった恩をこんなことで返せるとは思わないけど)

「ハヤテ、もしよかったらこの後に私をあなたのお嬢さまに会わせてもらえないかしら?」

「お嬢さまに? いいけれど、どうして?」

「私たちの恩をほんの少しだけ返そうと思ったのよ。さあ、ハヤテ」

アテネは左手でスカートの裾を摘み、右手をそっとハヤテの前に差し出した。

「えっと、アーたん?」

アテネの行動が意図することがわかっていないのかハヤテは瞼を瞬かせていた。

「もう、相変わらず鈍いわね。私をエスコートしなさいと言っているのよ!」
恥ずかしさと照れからアテネの頬は熟れたトマトのように赤く染まっていた。
視線を宙に漂わせながらもチラチラとハヤテのほうを見て答えを待っている。

「……僕で、いいの? だってアーたんにあんなひどいことを言ったのに。
ずっと、ずっと謝りたくて……。でも、会えなくて。こうして助けに来るのも遅れたんだよ? そんな、そんな僕だけどアーたんはいいの?」

今にも泣き出しそうな顔をしながら、ハヤテは尋ねた。

「バカね、そんなこと気にしていないわ。あなたでいいのよ。
……いいえ、あなたがいいのよ。ハヤテ」

アテネの言葉を聞いた瞬間、ハヤテの瞳からはとめどなく涙が溢れだした。服の袖で拭うが、涙はいっこうに止まらない。

「もう、ハヤテは本当に泣き虫ね」

やれやれと呆れたように呟きながらもアテネはポケットからハンカチを取り出し、ハヤテの涙を拭き取った。

数分後、涙の止まったハヤテに右手を差し出しアテネは再び同じ質問をした。

「私をエスコートしてもらえる? ハヤテ?」

「うん! アーたん!」

ハヤテは差し出された手を握り締めた。ハヤテはアテネの半歩前を歩き、自分の主がいるホテルへと向かい始めた。



満天の星空の下、かつて時を止めた黄金の日々が再び時を刻み始める。


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ハヤテのごとく! ss「黄昏の幻」2

アテネ市にある三千院家所有のホテルにて三千院ナギやマリア達はパーティの余韻に浸っていた。

つい先ほどまでの妖怪や霊の類の問題に気が付いていた人たちを除けば、他の人々はホテル側のサービスと受けとっていただけである。中には妖怪に自分の仕事を手伝わせる人までいた。

そして、妖怪が消えた直後に現れた光の雨。幻想的な光景に誰もが目を奪われ、光が消えるとともに、またパーティが再開した。

「そういえば、ハヤテ君はどこに行ったのでしょう?」

ふと、辺りを見渡してハヤテの姿が見当たらないことにマリアが気付いた。

「言われてみれば、たしかにハヤ太君の姿が見えないな」

「ふっ。おおかた夜の街を歩きながらナンパでもしているんだろう。なあ、泉?」

「ふぇっ! ど、どうなんだろうね~?」

話題の張本人がいないのをいいことに、生徒会の3人娘はあれよこれよと想像をしていた。

「ハヤテならちょっと用事があって外に出かけているのだ。なあに、用事がすんだらすぐに私の下に帰ってくると約束をした。だから、もう少ししたら帰ってくるはずだ」

自信満々に胸を張り、周りにハヤテとの約束を自慢するナギ。そして、ナギは自分より少し離れた場所にいる西沢歩(通称ハムスター)をチラリと見た。

「……む。何が言いたいのかな、ナギちゃん?」

「なんだ聞こえなかったのか。ハヤテはここを出て行く前に私の下に帰ってくると約束したのだ。いやぁ~やっぱりハヤテは私にラブラブなんだな」

「それってナギちゃんがハヤテ君の主だからそう言っただけなんじゃないかな? そんな約束だけでラブラブなんて言ってるんだ。それだったら、わ、わたしなんてハヤテ君にキスしちゃったもんね!」

瞬間、周りに衝撃が走った。自信に充ち溢れていたナギは口元が引きつり、泉は驚きふためき、美希と理沙はこの状況をどう煽ろうか考え始め、愛歌は微笑を浮かべて成り行きを見守り、マリアは笑顔のまま固まった。

「な、な、な、なに~! お、お前ついにハヤテのことを食べちゃったのか。この、ハムスターめ!」

「食べたってなによ、食べたって!」

「いったい何時ハヤテにキスをしたのだ! いや、それよりもハヤテは了承していたのか!?」

ナギの問いかけに歩の表情が曇る。

(あれ? 了承はしていないよね? でも、あれくらいの不意打ちはハヤテ君なら避けれただろうし……)

「どうなのだ!?」

「し、してたね! あれはきっと了承してた!」

結局歩は自分に都合のいいようにとらえることにした。

「そ、そんな……」

現場を見ていないナギは歩の言葉にショックを受けていた。地面に座り込んでうなだれ、ピクリとも動く気配がない。

「あ、あれっ? ナギちゃん?」

さすがに罪悪感がわいてきたのか歩はナギを慰めようとした。

「ふ、ふふふ」

歩がナギの肩に手をかけようとしたとき、うなだれているナギから呻き声が聞こえた。

「そ、その程度のことなら私もすでに済ませているからな。べ、べつにハヤテが誰に何しようと気になんてならないぞ。結局ハヤテは私のもとに帰ってくるんだから……さぁてハムスターの相手をするのもつかれたしネットでもしよう」

ナギは、いかにも自分は気にしていないという雰囲気を漂わせて、そのままホテルの中へと戻り、ノートパソコンを開いてネットを始めてしまった。

「あの独占欲が強いナギちゃんが……」

歩はナギのとった行動を見て驚き、茫然と立ちすくんでいた。

「え~っとあれじゃないかな? ナギちゃんもきっと大人になったんだよ」

「本当にそうならいいんですけどね~」

泉の推測を否定するようにマリアは溜息を吐いた。

「それってどういうことですか?」

「う~ん、説明するよりも見た方が早いですよ」

そう言うと、マリアはネットに集中し出したナギの後ろに歩を連れていった。
ノートパソコンの画面にはあるサイトが映し出されていた。


igan 将来を誓い合った男が友人の女とキスしてたんだけど、どう思う?

urataw 浮気報告乙

tama 略奪愛の予感!

igan もうちょっとマジメに答えろ

haru どうにもならん。そんなことより寂しい

igan どいつもこいつも……

oesah マジレスすると気にしないのが一番。本当に将来を誓い合った仲ならきっと戻ってくる。

igan サンクス。とりあえず戻ってくるの待つことにする


(うっわ~ものすごい動揺してるよ。しかも掲示板に書き込んで相談してる……)
(本当に変わらないですねこの子は)

マリアと歩の二人はナギの行動に呆れ、そのまま気づかれないようにその場を去った。

ハヤテのごとく! ss「黄昏の幻」3

一方ナギはネットでもらったアドバイスを受け、ハヤテが帰ってくるのを再び待とうとした。

しかし、その時間は数秒も必要がなかった。

「あっ!ハヤ太君が帰ってきた」

プールサイドから泉の声が聞こえ、指はナギの後ろを指していた。

ハヤテが帰ってきた。その言葉を聞いた瞬間、ナギの心は安堵に包まれ、心臓は鼓動を早めた。

(よ、よし。ここは笑顔で出迎えて私が余裕なのだということを周りに見せてやろう)

軽く深呼吸をし、笑顔を作るとナギはハヤテの方を振り向いた。

少しずつハヤテの姿が視界に入ってくる。

「ただ今戻りましたお嬢さま」

ハヤテの声も聞こえてきた。ところどころ破れた執事服が見える。そして、黒のドレス。

(――ドレス?)

よく見るとハヤテの横には見知らぬ女性が立っていた。

見るからに育ちの良さそうなお嬢さまであるが、高貴であるというよりはむしろ神々しいという言葉が似合うとナギは思った。

「えっと、ハヤテ。その隣の女は誰なのだ?」

嫌な予感がしつつもナギはハヤテに尋ねた。

「この人が僕の命の恩人で大切な人の天王洲アテネ。それで、こちらが僕の主の三千院ナギお嬢さま」

ハヤテは隣にいるアテネを自分の前に出して紹介した。それにこたえる形でアテネもナギに挨拶をする。

「初めまして、天王洲アテネです。あなたとハヤテのおかげで私は助けてもらえることができました。どうもありがとう」

深く頭を下げお礼を申し上げるアテネにナギはどう応えていいのかわからず、答えを求めてハヤテを見つめる。

ナギの視線に気づいたハヤテはいつものように笑顔を向けた。

「べ、べつにたいしたことはしていない。今回のことはハヤテが望んだことなのだ! ハヤテの一生の願いを主の私が叶えないでどうするのだ」

「でも、私を助けるためにあなたは三千院家の遺産の相続権を失ってしまった」

「む、知っているのか? まあ、確かに三千院の遺産は無くなってしまったが、その代わりにこれからはずっとハヤテが守ってくれると約束をしたからな!」

目を輝かせ、周りに言いふらすように声を響かせるナギ。

「……そう。でも遺産がなくなるということはあなたの住む場所もなくなるのだと思うのだけれど。新しく住む場所のあてはあるのかしら?」

「……う。それはまあ、これから考えるのだ。……主にハヤテが」

「えっ! 僕ですか?」

「そうだ。そもそも今回の件はハヤテが言い出して行ったことなんだから、ハヤテが新しい家も探すのだ。それに私とマリアではあの屋敷以外の家のことはわからん」

「たしかに、お嬢様たちは普通の家について知るはずがありませんよね」

「そうなのだ。だから日本に戻ってからの家探しはハヤテに任せるぞ。私はネットが繋がってさえいれば戦える。繋がる○が私の力だ!」

某有名ゲームのセリフと共にガッツポーズを決めるナギ。

「お嬢さま。それ以上言うと某夢の国の会社の黒服が現れますから、ほどほどに」

「そうだな。つい熱くなりすぎたようだ」

ハヤテとナギの奇妙な掛け合いを見ていたアテネはくすりと笑い、

「ハヤテ、話がそれてるわよ」

ナギの相手をしているハヤテをたしなめた。

「そうだったね」

「えっと、ナギちゃん?」

「ナギでいい」

「じゃあナギ。助けてもらったお礼というには、全然物足りないと思うのだけれど、よかったら私の屋敷で暮さないかしら?」

ハヤテのごとく! ss「黄昏の幻」4

「……う~ん。いい提案だとは思うが断らせてもらう」

「えっ!? 何か問題でもあるの?」

「いや、こうしてお礼をもらってはなんだかお礼が目当てで助けたみたいではないか。元々こっちは見返りなど期待していないのだから気にしなくてよいのだぞ」

「いえ、それではこちらが逆に申し訳なくなってしまうわ」

アテネの魅力的な提案を普通の人間ならば受けるのだろうが、ここでナギの悪い癖である頑固さが出てしまった。そのため、お礼として自分の住居を譲ろうとしていたアテネはお礼はいらないと言われ、普段は出ない頑固さがこちらも出てしまい、妥協点が互いに見いだせないでいた。

「では、賃貸契約をするというのはどうですか!」

どこからか現れたマリアがハヤテの後ろに立ち、提案をした。

「賃貸契約ですか?」

ハヤテが尋ねる。

「ええ。さっきから話が聞こえてきたので聞いていたのですが、どちらの意見も平行線のようなので、二人の意見の間を取って賃貸契約という提案をしてみたのですが、どうですか?」

「私は別にかまわないわ。ナギは?」

「……私もそれでいい。だが、家賃はそちらで決めるのだ」

「そうね……」

チラリとアテネはハヤテを見て、あることを思いつく。

「それじゃあ、週に二回ハヤテを私の執事にできないかしら?」

「そういわれても、ハヤテは私の執事だ。渡す気はないぞ?」

「ええ。だから、その日はあなたの執事も兼ねて私の執事になってもらうというのは無理かしら?」

「む、むぅ~。ハヤテはどうなのだ?」

「僕ですか? 僕は別にかまいませんよ?」

「マリアはどう思う?」

「私はハヤテくんとナギが決めることだと思っているので、特には。でも、その提案はいいと思いますよ。なにせ週に二日ハヤテくんを貸してあげるだけで、住処が手に入るんですから」

若干黒いオーラが漂っているマリアであった。

「ならば、よい。むすぶぞ! その契約!」

「ええ。こちらこそよろしく」

アニメに詳しくないアテネはナギのセリフ元に気がつくことなく笑顔で契約を結んだ。そして、ナギの影響によって元ネタが分かってしまったハヤテとマリアは『またやったよこの子』と心の中で呟いた。

「それでは、そろそろあいつらにも紹介しないとな」

ナギはプールサイドの方を向き、柱の陰からこっそりとのぞいている三人組+αに声をかけた。

「おい。いつまでそうやってこそこそのぞいているつもりなのだ!」

「いや~だって入りずらい雰囲気が漂ってたし。私だけ全く事情知らない気がしたから」

西沢もといハムスターは相変わらず普通の反応を返した。

「それに白皇の理事長様の話に割って入ろうなんて、恐れ多くてとてもね」

「同じく。それよりも私はヒナがどこ行ったのかが気になるな」

「たはは~。ヒナちゃんのことも気になるけど私はハヤ太君と理事長さんの関係が気になるかも」

三人組は全く統一性のない返事を返した。

皆アテネの体からにじみ出る、高貴なオーラというものに尻込み、近づこうとしない。

「しょうがないわね。まあ、お互いのことなんてほとんど知らないようなものだし。それじゃあ、そちらで私に質問をしてくださらない? それで、普通に話せるようになったと思ったら近くに来てください」

アテネの提案に四人は顔を見合わせて、相談を始めた。

ハヤテのごとく! ss「黄昏の幻」5

「どうしよう? 質問ってどんなこといえばいいのかな?」

「それはもう理事長様の赤裸々な過去やプライベートもOKなんじゃないか?」

「いや、それはさすがにまずい。ヒナの時のように地雷を踏む可能性もある」

「とりあえず、簡単な質問から聞いてみたらいいと思うよ~」

「そ、それじゃあ、質問します。ええっと……」

「アテネでいいわ」

呼び名を迷った歩にアテネがやさしくフォローする。

「好きな食べ物はなんですか?」

『どうしてそんなに……(ry』質問を聞いた誰もが同じ感想を抱いた。 

「……そうね。基本的にこれといって好きなものはないわね。かといって嫌いなものもないし。あえていうなら、ハヤテが作ってくれる料理は全部好きです」

「確かにハヤテの料理はおいしいな。わたしも前に簡単なものを作ってもらったがとてもよかったぞ!」

「わ、わたしだってあるよ!」

「というよりここにいる全員食べたことがあるんじゃないか?」

((た、確かに))

「じゃ、じゃあ次の質問行きます!」

二番手に泉が現れた。

「理事長さんは、キ、キスしたことありますか?」

……!

 某潜入ゲームのアラーム音がどこかからか鳴る。旅行中、散々キスの話題について話していた泉は同じ女として、純粋にアテネが誰かとキスをしたことが気になった。というより、頭にそれしか浮かばなかっただけだった。

「キ、キスですか? ええっと、一応あるにはありますけど」

「ふぇ! そ、それって最近のことですか?」

「いえ。まだ私が子供だった時のことです」

「あ~それじゃあ私と一緒ですね」

「そうなの?」

「もう顔も覚えていないんですけどね~。小さい時私を犬から助けてくれた男の子としたんですよ」

「犬……。そ、そうですかあなたが」

「えっ? 何か言いました?」

「いえ、なんでもありません」

「そういえば、お前もキスしたことがあるって言ってたっな?」

と、それまで泉とアテネの話題を聞いていたナギが歩へと話題を振った。

「あれ~? どうしてここでさっき終わった話を持ち出すのかな~」

「いや、一応事実を確認しとこうと思ってな。ハヤテ、お前このハムスターにキスなんてされてないよな?」

皆の視線が一斉にハヤテへと向けられる。

「え、え?」

「されてないよな?」

ハヤテは念入りに確認するナギと困った顔をしている歩を交互に見る。

(う~ん、どう答えればいいんだろう? 確かに西沢さんには昨日キスされたけど、あれ頬だったしキスって言わないんだろうか? だけどここでキスをされていないって言うと西沢さんはきっと傷つくだろうな。よし、ここは大人な対応でさらっと言ってしまおう)

「ええ。キスされましたよ」

「えっ?」

「えっ?

「……」

「あれっ?」

「えっ? 本当にされちゃったの? 了承したの?」

「いや、でも頬ですし」

「了承したのか……」

「あの、お嬢さま?」

「は、ハヤテくんが認めてくれた。これはもしかしたら脈があるかも? いやいや、待てってわたし。たっは~これは夢。きっと夢!」

ナギは落ち込み、歩は壊れた。そしてアテネは、

「……ハヤテ」

「あれ? アーたん?」

「少しはいい男になったかと思っていましたが、他の女にこんなに手を出して。何か言うことはありますか?」

「い、いや。誤解だよ、アーたん」

「ほう。言いたいことはそれだけですか。それでは今からもう一度あなたに男女の交際についてみっちりと教えなければいけませんね」

「そ、そんな~」

「……みなさん、部屋に戻りましょうか」

「そうだな。この茶番を見ていると頭がどうにかなりそうだ」

「同じく。ヒナもそのうち帰ってくるか」

「あはは~。でも理事長も意外と普通の人だったね。これなら普通にしゃべれるかも」

この状況に呆れたマリアと三人は部屋へと戻って行った。

こねこ時計 ver.3

CATS
Sweets

プロフィール

建野海

Author:建野海
扉の中の部品たちへようこそ。

名前:建野海

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好きな食べ物: 和菓子、洋菓子などデザート類。

趣味: 読書、ツーリング、ゲーム、ピアノ、映画鑑賞。

好きなマンガ:
ワールドエンブリオ
修羅の門
     3月のライオン
     エリアの騎士
     フルーツバスケット

好きな小説:ダレンシャン
      白夜行
      スロウハイツの神様
      向日葵の咲かない夏
      白い巨塔など。

好きな映画:プラダを着た悪魔
      ワイルドスピード
      僕駐
      インセプションなど。

好きなゲーム:キングダムハーツ
       テイルズ
       ルーンファクトリー
       ゼルダの伝説など

好きなアーティスト:福山雅治
          宇多田ヒカル
          UVERworld
          アンジェラアキ
          

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